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『上海迷宮』

内田康夫『上海迷宮』(徳間文庫 2007)を読む。
2004年に刊行された本の文庫化である。
ちょうど中国経済が爆発的に伸びてきて、「世界の工場」と称されるようになった2000年代初頭の上海の急激な開発が殺人事件の背景となっている。

古い町や風景、そこに息づく人情なども切り捨てながら、国家主導で進んでいく中国の経済成長を、日本の高度経済成長に擬えつつ、懐疑的に描写しているのが印象に残った。

文庫で400ページ弱の中編小説なのだが、読むのにやたら時間がかかってしまった。年末年始にゆっくり休んだので、気持ち的には落ちついているのだが、どこかで疲れが出ているのであろうか。