堀江貴文『自分のことだけ考える。:無駄なものにふりまわされないメンタル術』(ポプラ新書 2018)を読む。
大変面白かった。彼自身の人生哲学が素直に語られている。タイトルに「自分のことだけ」とあるが、最後の章題は「他者を巻き込んで生きていく」とあるように、決して自分勝手とか、自己中心的な考え方ではない。恥をかくことをおそれ消極的になったり、いつまでも過去の失敗にくよくよしていたり、他人にとやかく言われることを事前に予想して行動を制限することの馬鹿らしさを力説する。著者は冒頭で次のように述べる。
自分が「正しい」と信じることを、やるしかない。
自分が「必要だ」と感じるものを、手に入れるしかない。
自分が「後悔しない」と言える、好きな道を行くしかない。
自分が「こうだ!」と決めたことを、努力し続けていくしかない。
もちろんその結果、失敗するかもしれない。
もしかすると、誰かに裏切られるかもしれない。
さらに言えば、大きな損失を負う羽目になるかもしれない。
でも、それは、自分の責任だし、失敗したってそのとき反省して、また自分を信じて真剣にやるだけだ。(中略)
でもほとんどの人は、まるで反射のように「できない言い訳」を考えてしまう。(中略)
本書にはそうした「思い込み」「常識」「言い訳」などを振り払って、今すぐ前に進んでほしいという願いを込めた。(中略)
自分のやりたいことにブレーキをかけてしまっている人が、まずは常識、考え方を変えるきっかけにしてほしい。
それに、現代を生きていると、本当に「無駄なもの」が多い。
無駄なものは、僕たちから時間や気力などの大事な資源を奪っていく。
それが現代社会の不合理なところだ。
だからあなたには、そんなものをうまく遠ざけて、心をフラットにして生きてほしい。たとえば「他人の正義感」「妬み嫉み」「感情論」「慣習」「駆け引き」「嘘」……。
これらにふりまわされて時間を浪費するほど愚かなことはない。僕にも、そしてあなたにも、そんな時間はないはずだ。(中略)
チャレンジしようとする者には、必ず批判する者がいる。
常識を打ち破ろうとする者には、必ず抵抗勢力が現れる。
そして、目立つ者は、多かれ少なかれ必ず叩かれる。
本書で印象に残った部分を引用しておきたい。
「何だよ!」なんて言って斜に構えていると、自分のほうが立場が上になったように錯覚するから、気はラクになるかもしれない。でも、それで得することなんて何もないのだ。(中略)
斜に構えた段階で、その人はもう「負け」。
自分にできないことをやっている人を見て、嫉妬したら「負け」。
何事も学びのチャンスだと思い、自分に取り入れられることを見つけたほうがいい。
人の成功に嫉妬することの無意味さを、肝に銘じてほしい。
学校の弊害の一つに「いじめ」がある。毎日、同じ先生、同じ生徒で同じ教室に集まって、画一的な授業を受けていると、いじめをする人間が現れる。
いじめに、特に理由なんてない。毎日、好きでもないのに狭い教室に閉じ込められていると、「あいつ、ちょっと変だな」と思った途端、いじめたい衝動に駆られる馬鹿なやつが出てくる。
こういうものは全世界であることで、いじめを完全になくすということはできないと思う。だから、いじめはなくすのではなく減らすという方向で考えたほうがいい。では、どうすればよいか。
答えは簡単。いじめられそうになったら受け流したり逃げたりすることだ。