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「小泉氏、石炭火力に反対」

本日の東京新聞朝刊に、小泉進次郎環境相が日本企業のベトナムでの石炭火力発電所建設に疑義を呈したとの記事が掲載されていた。石炭火力発電は原油や天然ガスに比べて二酸化炭素の排出量が多い。小泉大臣の発言は、先月開催された第25回気候変動枠組条約締約国会議(COP25)における二酸化炭素排出削減を踏まえたものだと思われる。

日本政府は原子力発電に批判が集まるか中で、経済成長が著しい発展途上国向けに石炭火力発電の輸出に力を注いでいる。J-POWERのホームページを見ると、SOx(硫黄酸化物)やNOx(窒素酸化物)、ばいじん(すすや燃えカス)などの大気汚染物質の除去技術を声高にアピールしている。しかし、どんなに効率良い燃焼技術を開発したところで、化学式を思い出すまでもなく、石炭火力発電に伴う二酸化炭素の排出量は一切変わらない。

巷間論じられているように、私は、安全性の観点から原子力発電はすぐに止めるべきだと考える。また、石炭火力発電は環境の観点から可能な限り廃止するべきである。石炭や原油に比べ二酸化炭素の排出が少ない天然ガス(LNG)にシフトを置きながら、再生可能エネルギーの可能性を追求するべきである。

地理Aの3学期の授業は、環境、防災、エネルギーという3つのテーマを扱いました。といっても話は全て関連しており、まとめとしてリチウムイオン電池を根幹に据えたスマートシティ、コンパクトシティのあり方を伝えるという組み立てをしました。本日で授業が終了しましたが、時間の都合で言葉足らずで終わってしまったのが残念です。また、来年度の授業の反省につなげていきます。

『職業としての地下アイドル』

姫乃たま『職業としての地下アイドル』(朝日新書 2017)を読む。
一般的に、近寄りがたい存在で、極めてマニアックでディープな世界という印象が強い地下アイドルについて、一応の学術的な分析を加えた内容である。「地下アイドル」というと、地下のステージを燻っているイメージが強いが、今をときめく橋本環奈さんも福岡県のローカルアイドルユニット出身である。「奇跡の1枚」と称された画像がインターネットで瞬く間に広がっていったシンデレラストーリーである。

著者の分析によると、地下アイドルの世界はアイドルとファンが持ちつ持たれつの相互依存の関係が成立している。地下アイドルになる女の子はいじめ体験を持っている人も少なくなく、観客から声援をもらったり、物販に会いに来てもらったりすることで承認要求を満たす。またファンの側にもアイドルの子たちに認知されて、レスをもらいたい欲求があり、応援することが認知に繋がるため、自然と互いを満たし合う関係になる。

また、地下アイドルは必ずしも容姿に恵まれた人が成功するわけではない。法政大学越智啓太教授によると、外見的魅力がつりあっていないカップルが早く別れることが統計的に明らかにされている。自分と釣り合いのとれた容姿の人と付き合うのが合理的な選択である。地下アイドルとファンの関係はお互いに求め合っているので、容姿以外の点が評価されやすいという側面がある。

『恐山殺人事件』

内田康夫『恐山殺人事件』(角川文庫 1989)を読む。
1988年に刊行された本の文庫化である。
イタコの不思議な予言に那須火山帯を組み合わせるという斬新な発想で読み応えがあった。

『新しい世界地図』

新しい世界地図製作委員会・著『新しい世界地図:世界日本語的珍地名』(あートン 2005)をパラパラと眺める。
日本語として変な世界の地名を取り上げる趣味的な本。何の意味があるのかと思った。

浪人を決断した君へ

少々早いですが、卒業生向けのコメントです。字数がオーバーしたので、卒業式前に皆さんに配布される冊子では、もう少しコンパクトな文章になります。浪人を勧める訳ではありませんが、浪人生活は長い人生の基礎を固める絶好の機会だと思います。浪人を決断した皆さんの心に届くメッセージを綴りました。


 三年生の皆さん卒業おめでとう。見事に希望の進路に進む人、第一志望ではない進路を選択した人、そして不本意にも進路が決定していない人、悲喜こもごもでしょう。高校の卒業式の帰り道、ひたすら不安しかなかった先輩として、「浪人」のコツを伝授します。

1.長い人生の中で、自分のためだけに時間を使えるチャンスはいくつもありません。自分が高くジャンプできる一年間として、前向きに捉えることが何よりも大切です。プラス思考で浪人を受けとめられるかが、合否の分かれ目です。

2.中学や高校では、予め決められた時間軸の中で、全員でテストや行事に取り組むことで、年間のスケジュールをこなしてきました。しかし、浪人生活はそのように自動的に時間は流れていきません。自分がサボると時間は止まったままです。各社の模試を短期目標にして、自分で日程や生活習慣、時間割を作っていくことが必要となってきます。

3.受験勉強は、授業のようにワイワイ、ガヤガヤとやるものではありません。他人からの評価も少なく、一人で寂しく問題集を積み重ねていく作業です。夏が近づいてくると、「何で集中できないのか」「どうして継続できないのか」と悩み、自分の精神的に弱い点が突きつけられます。でも、そうした弱い自分自身を仲間に加えていくことで、強いパーティを作ることができます。孤独に耐える力が原動力です。

4.おそらく、東京五輪が終わった秋ごろに、成績の伸び悩みや焦りが訪れることでしょう。焦りからは、何も生まれません。秋からは、心と体を整える時期です。浪人の多くの者が秋に一時的スランプを経験します。受験は最後、平常心と体力です。「待てば海路の日和あり」の心境で、じっくりと勝負の時を待ち構えてください。