浪人を決断した君へ

少々早いですが、卒業生向けのコメントです。字数がオーバーしたので、卒業式前に皆さんに配布される冊子では、もう少しコンパクトな文章になります。浪人を勧める訳ではありませんが、浪人生活は長い人生の基礎を固める絶好の機会だと思います。浪人を決断した皆さんの心に届くメッセージを綴りました。


 三年生の皆さん卒業おめでとう。見事に希望の進路に進む人、第一志望ではない進路を選択した人、そして不本意にも進路が決定していない人、悲喜こもごもでしょう。高校の卒業式の帰り道、ひたすら不安しかなかった先輩として、「浪人」のコツを伝授します。

1.長い人生の中で、自分のためだけに時間を使えるチャンスはいくつもありません。自分が高くジャンプできる一年間として、前向きに捉えることが何よりも大切です。プラス思考で浪人を受けとめられるかが、合否の分かれ目です。

2.中学や高校では、予め決められた時間軸の中で、全員でテストや行事に取り組むことで、年間のスケジュールをこなしてきました。しかし、浪人生活はそのように自動的に時間は流れていきません。自分がサボると時間は止まったままです。各社の模試を短期目標にして、自分で日程や生活習慣、時間割を作っていくことが必要となってきます。

3.受験勉強は、授業のようにワイワイ、ガヤガヤとやるものではありません。他人からの評価も少なく、一人で寂しく問題集を積み重ねていく作業です。夏が近づいてくると、「何で集中できないのか」「どうして継続できないのか」と悩み、自分の精神的に弱い点が突きつけられます。でも、そうした弱い自分自身を仲間に加えていくことで、強いパーティを作ることができます。孤独に耐える力が原動力です。

4.おそらく、東京五輪が終わった秋ごろに、成績の伸び悩みや焦りが訪れることでしょう。焦りからは、何も生まれません。秋からは、心と体を整える時期です。浪人の多くの者が秋に一時的スランプを経験します。受験は最後、平常心と体力です。「待てば海路の日和あり」の心境で、じっくりと勝負の時を待ち構えてください。