日別アーカイブ: 2019年12月28日

『火山のはなし』

下鶴大輔『火山のはなし:災害軽減に向けて』(朝倉書店 2000)を読む。
東京大学の地震研究所教授や気象庁の火山噴火予知連絡会の会長職を歴任した著者が、学生や自治体の防災担当者向けに分かりやすく、火山の仕組みと過去の火山噴火の状況、火山噴火の防災の実践などについて語る。

長年火山に魅せられてきた著者だけに、火山災害以上に火山の魅力が行間から感じられる。著者は次のようなセリフで火山の素晴らしさを伝える。

The most spectacular and dynamic
phenomena of Nature are
Aurora in the Heaven
and
Volcanic Eruptions on the Planet Earth

『竹人形殺人事件』

内田康夫『竹人形殺人事件』(角川文庫 1997)を読む。
1992年に刊行された本の文庫化である。バブル真っ只中で開発の波が押し寄せる福井県を舞台に、水上勉が小説で描いた「越前竹人形」の伝統と、観光客を呼び寄せるための開発に伴う汚職が複雑に絡み合う。

作者のミステリー量産期に書かれた作品で、事件のカラクリの「フォーマット」に地名とモチーフを抛り込んだだけの、荒削りな内容となっている。

冬休みの気分転換にちょうど良い作品であった。