月別アーカイブ: 2019年2月

『追分殺人事件』

内田康夫『追分殺人事件』(双葉社 1998)を読む。
1988年に刊行された本で,北海道夕張の追分と長野県軽井沢の夕張を結びつけた殺人事件である。
93人が犠牲になった1981年の北炭夕張新炭鉱ガスの犠牲家族のその後が数奇な人生が描かれる。
最後はドタバタと事件が解決していき,ミステリーとしてはいまいちであった。しかし,大きな事故があり,その地に住めなくなったり,生活が成り立たなくなったりした家族の人生の岐路に焦点をあてたという点では興味深かった。

『環境百禍』

中村梧郎『環境百禍』(全国消費者団体連絡会 1989)を読む。
フォトジャーナリストの中村氏は,『母は枯葉剤を浴びた』(新潮文庫)の著者としても知られ,ベトナム戦争で使用された枯葉剤による環境被害を40年以上に亘って伝えている。

本書でも不老川や琵琶湖,宍道湖などの水質汚染,ゴルフ場の土壌汚染,農薬散布による大気汚染など,バブル景気に浮かれていた日本国内での環境汚染をまざまざと伝えている。川岸いっぱいの投棄ゴミやPCB,ダイオキシンなど,わずか30年前の国内の光景が現在の中国と酷似していることに驚かされる。いや,日本のゴミが海外に移転しただけなのか。

『週末・休日 スポーツ自転車の本 vol.2』

枻出版『週末・休日 スポーツ自転車の本 vol.2』(枻出版 2004)を読む。
特別高価な自転車ではなく,ホームセンターでも売っていそうなクロスバイクやマウンテンバイクで,週末に大江戸線を一周したり,東京都内の大使館を巡って世界一周など,自転車本来の見たことのない景色に出会う楽しみ方を紹介している。
読みながら,新日本プロレスリングの会長を歴任した木谷高明氏の「すべてのジャンルはマニアがつぶす」という言葉を思い出した。自転車もフレームの素材や機材にこだわり始めるとキリがないが,子どもでも初心者でも一緒に楽しめる方が良い。いつまでも入門者の気持ちを忘れずにいたい。

田口店長が若い!

『歌わない笛』

内田康夫『歌わない笛』(講談社文庫 2016)を読む。
1994年に刊行された本である。名探偵浅見光彦が岡山県津山市を舞台にした殺人事件を見事に解決する。1994年当時から話題になりつつあった少子化に伴う大学移転・新設の裏に蠢く政治の駆け引きや大きな金が動く地域開発がモチーフとなっている。事件そのものよりも、後醍醐天皇も隠岐に流される途中で立ち寄ったという津山市に興味を持った。関東の人間には馴染みの薄い土地だが一度は訪れてみたい。

「小泉元首相 一問一答」

本日の東京新聞朝刊に,小泉元首相の脱原発に関する一問一答の記事が掲載されていた。
目新しい話はないのだが,大事なことは繰り返し繰り返し話すことが大切である。