武田邦彦『原発大崩壊!:第2のフクシマは日本中にある』(ベスト新書 2011)を読む。
電力会社や原子力安全・保安院は原子炉の「安全」しか見ておらず,冷却のための電力や周辺住民の避難体制まで見越した安全を見ていない事実を積み上げていく。御用学者によるデータの「捏造」によって作られた安全神話に対して,当たり前の疑問をぶつけていくことが大事だと述べる。
私も原子力安全委員会に所属しているときに痛感しましたが,官僚というのは「わざと」難解な言い回しをして,責任の所在や本質をわからなくさせることに長けています。また,(中略)「御用学者」というのは,もっともらしくウソをつくプロです。素人が真正面から向き合ったところで,丸め込まれるのがオチでしょう。だから,自分たちのわかる範囲の議論をすべきなのです。
「原発が壊れたら,放射性物質は飛び散りますか?」
「飛び散る場合は,私たちは被ばくするのですか?」
このようなシンプルな問いかけを,イエスかノーでしか答えられないように追いつめていく。難しい技術的な話は御法度です。
ただし,後半は地球温暖化の確定されたデータは存在せず,中世代はもっと暑いなかで恐竜は元気に動き回っていたではないかと疑問を呈し,「安全な原発」を推進し,再生可能エネルギーは自然を破壊するものであり期待すべきではないと熱弁する。「あなたこそ御用学者ではないのか」と,思わずツッコミを入れてしまった。