内田康夫『江田島殺人事件』(祥伝社ノンポシェット 1997)を読む。
1988年に講談社から刊行された本の文庫化である。東郷平八郎の佩剣や海軍兵学校時代の訓戒など史実を踏まえつつ、軍拡に走る軍需産業に絡む殺人事件を、お馴染みの名探偵浅見光彦がさらっと解決する。ミステリーとしてはいまいちであったが、潔く命を捧げ軍神になることを良しとする風潮が蔓延っていた軍隊時代の弊害について理解できた。
五省(海軍兵学校で用いられた訓戒)
一、至誠に悖る勿かりしか
真心に反する点はなかったか
一、言行に恥づる勿かりしか
言行不一致な点はなかったか
一、気力に缺くる勿かりしか
精神力は十分であったか
一、努力に憾み勿かりしか
十分に努力したか
一、不精に亘る勿かりしか
最後まで十分に取り組んだか