大学案内研究:常盤大学・常盤短期大学

常盤大学・常盤短期大学のパンフレット(2014年度版)を読む。
茨城県・水戸市にある典型的な「郊外型」大学である。1909年水戸市に開設された裁縫教授所が母体となり、女学校、高等女学校と発展していく。戦後、普通科・被服科・商業科を抱える女子高校として出発し、1966年に受け皿として短大が開設され、1983年に4年制大学が開学し、人間科学部が開設されている。1989年には大学院人間科学研究科が設置されている。その後、不況と少子化の影響であろう、毎年のように学科の増設が続く。1996年に国際学部、2000年にコミュニティ振興学部が設置され、郊外型大学のお決まりのように2008年に小学校教諭と管理栄養士の養成課程が設置されている。
現在、4年制大学は、心理学科、教育学科、現代社会学科、コミュニケーション学科、健康栄養学科からなる人間科学部、経営学科と英米語学科からなる国際学部、コミュニティ文化学科、地域政策学科、ヒューマンサービス学科からなるコミュニティ振興学部の3学部で構成され、短期大学は、キャリア養成学科と幼児教育保育学科で構成されている。

学部学科の紹介はオーソドックスな作りで、各学科6ページで構成され、学びのキーワードや学科の特色、目指すべき進路、取得できる免許や資格が分かりやすく例示されている。またカリキュラム表や授業紹介、ゼミ紹介に加え、在学生、卒業生のメッセージも顔写真入りで掲載されており、学びの概要を十分に把握することができる。
就職実績も卒業生数、就職希望者数、就職者数が学科別にきちんと明示されており、情報公開という点でも評価できる。

特筆すべきことなのか分からないが、2005年に被害者学研究科という珍し大学院が開設されている。今年2013年には博士課程も整備されている。大学のホームページを見ると、被害者学とは、「さまざまな犯罪や事故、自然災害などの被害者およびその家族や遺族を対象とし、被害による身体的、心理的、社会的、経済的な影響や、その回復、さらに被害者の権利確立や有効な支援のあり方などについて、あらゆる角度から研究していく学問」と紹介されている。法学部も医学部も持たない大学でどういった研究が行われているのかパンフレットだけでは分からないが、国家犯罪や報道被害など、アプローチしにくい分野に切り込んでいくことを期待したい。

2013年度は入学定員700名に対し、入学者は564名であった。水戸市内には国立茨城大学と常磐大学しかないので、都内の中堅大学との差別化−県内企業との連携、就職率の向上、医療福祉系の学部開設、公務員対策など−を図りつつ、茨城大学の受け皿的役割を果たしていけば、まだまだ生き残る可能性は大きいであろう。

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