月別アーカイブ: 2013年3月

『DOCUMENTARY of AKB48 Show must go on 少女たちは傷つきながら、夢を見る』

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地上波で放映された、高橋栄樹監督『DOCUMENTARY of AKB48 Show must go on 少女たちは傷つきながら、夢を見る』(2012 東宝)を観た。
過呼吸で倒れたり、謹慎したり、復帰したり、果たして本当のドキュメンンタリーなのか、演出なのか分からない熱気を感じた。いや、カメラが向いている以上、ドキュメンタリーは成立しないのか、それとも全ては秋元康さんの掌上の演出なのか。
40間近のおじさんなので、AKBのメンバーの名前がいまいち分かっていなかったが、メンバー同士のやりとりがテーマであり、テロップに名前も表示されたので、にわかAKBオタクを味わうことができた。また、震災の被害の爪痕の映像もあり、ちょうど2年前の出来事を振り返ることができた。

[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=cqnqD3MpFQE[/youtube]

『二重スパイ』

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具本韓『二重スパイ』(新潮文庫 2003)を読む。
十年以上前に観た同名の映画の原案である。ちょうど先日観た『シルミド』が金日成暗殺計画を遂行する「北派工作員」の話であったが、この『二重スパイ』は、その逆にあたる北朝鮮軍所属の「南派工作員」が主人公の物語である。映画の内容はすっかり忘れており、最後まで楽しむことができた。
北からも南からも追われる二重逃亡者を通して、当時の(そして今も続く)「先鋭なまでに対峙するイデオロギー」(本文より)の存在を感じることができた。

「フェルメール光の王国展」

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 本日、子どもを連れて、新しくリニューアルした春日部の西武で催されている美術展「フェルメール光の王国展」へ出かけた。
 新しくデジタルリマスタリングされたフェルメールの全作品が制作順に展示されているという豪華な内容である。デジタルと言っても本物の油絵と全く見分けがつかないほど精密にできていた。作品の大半はどれも室内の光の差し込む窓際での楽器の練習や談笑といった風景画である。しかし、光の当たり具合や遠近法などが計算された構図で、写真以上に当時の室内の暗さや家具の質感が伝わってきたように感じた。
 しかし、有名な「真珠の耳飾りの少女」以上に、主催者に名を連ねている分子生物学者である福岡伸一さんの写真ポスターの方が記憶に残ったという事実は否めない。

『きことわ』

第144回芥川賞受賞作、朝吹真理子『きことわ』(2011 新潮社)を読む。
25年ぶりに再会した貴子(きこ)と永遠子(とわこ)の再会シーンと回想シーンが連なる。主人公たちが現在に悲観することもなく、人生を考えるわけでもなく、淡々と話は展開されていく。技巧を凝らしたのか、現在の描写から過去の描写へとすーっと流れていくので、話の脈絡が妙に掴みにくかった。

『平家物語の知恵』

青木雨彦『平家物語の知恵』(講談社文庫 1992)を読む。
1987年に刊行された本の文庫化である。教材研究のために、タイトルだけを見てネットで注文した本である。
中身は『平家物語』のテーマについての紹介という文芸書ではなく、著者のサラリーマン時代の思い出を無理矢理『平家物語』のエピソードに絡めて論じるエッセーである。ちょうど1980年代の後半、会社帰りにビジネスマンが駅のキオスクなどで手にするような内容となっている。