日別アーカイブ: 2009年10月22日

パンフレット研究:実践女子大学

実践女子大学のパンフレットを読む。
和洋女子大学と同じく歴史ある女子大である。校名の「実践」は、学問を実際に役立て実行するという意で、「良妻賢母」を主とした女学校が多い中で、「実学主義」を徹底させた革新的な学校として出発している。
1899年創立の実践女学校を起源とし、1925年に実践女子専門学校となり、49年に新制の4年生大学に移行し、85年に渋谷区から現在地の日野市に全面移転が完了している。

現在では国文学科、英文学科、美学美術史学科からなる文学部と、管理栄養士専攻を含んだ食生活科学科、生活環境学科、幼児保育専攻を含んだ生活文化学科からなる生活科学部、人間社会学部の3学部と短期大学からなる。パンフレットを読む限り、和洋女子大と比べると見劣りするというのが第一印象である。「とりあえず」社会学や経済学、人間関係の科目を集めましたというコンビニ的な人間社会学科や、生活科学部生活文化専攻、高校の家庭科の授業の延長のような生活環境学科、栄養士の資格すらとれない食物科学専攻、「とりあえず」上代から近現代までの時代の専門家を集めただけの国文科などなど、食生活科学科管理栄養士専攻以外は、伝統があるだけの凡庸な女子大学と何ら変わりはない。日野駅から歩いて12分の便利な場所にあり、大学の雰囲気はいいと聞いているので、近所に住んでいれば「とりあえず」オススメな大学なのであろう。

パンフレット研究:和洋女子大学

和洋女子大学のパンフレットを読む。
1897年に東京九段に創設された和洋裁縫女学院を前身として、1928年に和洋女子専門学校となり、46年に現在地の千葉県市川市国府台に移転し、49年に新制の大学として発足した伝統を誇る大学である。大学名の「和洋」は、「和魂洋才」「明朗和順」の教育理念を掲げ、和裁と洋裁の両方を学ぶ当時では先進的であった前身の学校名に由来する。

現在は「学群・学類制」が導入され、英語・英文学類と日本文学・文化学類、心理・社会学類からなる人文学群と、服飾造形学類と健康栄養学類、生活環境学類からなる家政学群の二つの学群で構成されている。日本文学・文化学類の中にマンガを主な研究対象とする文化芸術コースや書道コースが設置されていたり、心理・社会学類の中に、充実した科目構成をとる国際社会システム専修が置かれていたり、生活環境学類の中に社会福祉コースを設置するなど、開講科目をじっと見ていくと、充実したカリキュラムをとっていることに気づく。就職や資格、海外研修やインターンシップなどの特別プログラムは一通り置かれているが、あまり前面に打ち出されてはいない。

一見選択肢が多いように見えて、結局は資格取得が第一のうすっぺらい教育システムをとる郊外型の通り一遍の女子大に比べ、伝統の重みを感じるといったら誉めすぎであろうか。