佐藤留美『結婚難民』(小学館101新書 2008)を読む。
数年前から、「勝ち組」「負け組」「格差社会」「二極化」「下流」「ワーキングプア」といった言葉が、半ば定着しつつあるほどまでに流行し、ロスジェネ男たちは、否が応でも、自分は勝っているのか? 負けているのか? 下流なのか? と自問させられる日々を送ることとなりました。
そして、2~3年前から「少子化問題」がメディアで激しく取りざたされるようになると、いつしか議論は子づくり・出産の手前段階である「結婚問題」に飛び火。
そこに、ワーキングプアと非正規雇用といった言葉の普及が重なって、「ワーキングプアは結婚できない」といった記事が躍るようになりました。
これは翻って考えると、「勝ち組は結婚できる」ということです。
こうしていつしか「結婚」は勝ち組を証明するステータスとなり、「結婚」は「する・しない」という問題よりは、「できる・できない」という問題で、語られるようになりました。
挙句、最近では非婚化も少子化もまるで「プロポーズしてこない男が悪い」という風潮になってきました。
著者が、上記のように「あとがき」で述べているように、マスコミによって「草食系男子」「オタク男」「無責任男」「ひ弱男」と喧伝され、こと結婚問題では男性に分が悪い。73年生まれの著者は、結婚したくてもできない未婚男性を取り巻く経済環境や、社会状況、そして女性の側に批判の目を向ける。
ここ数年出版された三浦展や、山田昌弘、森永卓郎、酒井順子らの「格差社会」にまつわる著書を参考文献として挙げており、分かりやすく現在の流れを押さえることができる一冊である。