亜細亜大学・亜細亜大学短期大学部のパンフレットを読む。
中央線武蔵境駅から徒歩12分の住宅街にある和やかな大学である。
経営学部、経済学部、法学部、国際関係学部、短期大学部の5つの学部で構成されているが、学部紹介のページはパンフレットの3分の1ほどしかない。その授業内容も「研究」という側面は無く、学生の「教育」に特化している趣だ。そして、その逆に、全学共通である留学プログラムや外国語教育、企業との連携教育などの紹介がパンフレットの目玉を飾っている。全学生6000人が一つのキャンパスでこぢんまりとした大学で、決して大きくもなく、小さくもないスケールメリットをよく活かしている。特に中国語や中国への留学制度が充実しているのがよい。変に背伸びして偏差値が上の大学に行くよりも、亜大で安く留学にチャレンジするのも、昨今の高校生にとってはよい経験かもしれない。
また、ロースクールのない法学部の大学パンフレット改めてじっくりと読んでみたが、完全に法科大学院への予備校か、もしくは公務員や企業への就職予備校と化している。これまた昨今の高校生には「分かりやすい」のであろう。
一芸一能推薦入試で有名な亜大であるが、現在は一芸一能に加えて、公募推薦、スポーツ推薦、アジア推薦、ホスピタリティ推薦、特別推薦、アジア夢カレッジAO入試、AO入試、それ以外に一般入試A方式、B方式、C方式、D方式、T方式がある。おそらくは学内の教職員も生徒募集に、入試やら就職やらで研究以外の仕事に忙殺されているのであろう。
創立者である太田耕造は戦前国粋主義を邁進した人物で、戦犯容疑に問われ巣鴨刑務所に拘留されている。亜細亜大学は、その太田氏が戦前に設立した興亜専門学校に由来する。興亜専門学校は国士舘大学とも関係の深かった学校で、大東亜共栄圏の思想を広める教育機関として設立されたものである。パンフレットにも「初代学長は、「自助精神」を身につけた誠実な人材を育成し、将来、アジアの独立と自由と協調を図り、人々の文化交流、経済交流が活発になり、自由アジアの興隆に貢献することを建学の使命としました」と、大東亜共栄圏の理念をそのままパンフレットに掲載している。南京大虐殺を全否定する教授もおり、大学の経営方針そのものを精査していく必要があるだろう。