職場でもらった日本放送協会編『NHKは何を伝えてきたか NHK平和アーカイブス:番組公開ライブラリーリスト』というパンフレットをじっくりと読んでみた。
NHKが戦後60年の長期に亘って、その時代の視点に合わせて広島・長崎の問題をくり返しくり返し伝えてきた経緯が書かれている。50年代は直接に原水爆の被害を伝え、さらなる実験を防ぐ運動の広報の先導を担う番組を数多く報道している。それが60年代に入ると、東西冷戦の中で広島の被爆体験のもつ意味の問い直しが始まる。そして、70年代以降に入ると、核拡散を防ぐ新たな視点として、市民レベルの草の根被爆体験の掘り起こしが増えてくる。さらに80年代では、被爆体験の継承がドラマやラジオ番組の主題となっていく。
戦後におけるNHKの戦争に対する真摯な態度が伝わる良質な内容であることが分かる。しかし、大本営発表の先兵であったNHKの戦前の責任については一行のコメントも掲載されていない。
□ 「NHK 平和アーカイブス」公式サイト □