本日の東京新聞の精神科医斎藤学氏のコラムが興味をひいた。斎藤氏は高みに立って物を言う人物であまり好きではないが、下記の論は正鵠を得ている。
ここのところ日本社会は上流と下流に分極化しているそうだが、もっともあからさまな「格差社会」は政界だ。世間では通用しそうもない素朴なアナクロ中年が首相をつとめられるのもそのせいで、要するに人材払底ということではないか。その男は力み返って「戦後レジームの脱却」などと言っている。この人、妙に真面目で「祖父さんの志」を継ぐなどと言っているから怖い。
この祖父さんこそ戦前から続く日本の暗い部分を戦後社会に混入させた男だ。防衛庁を防衛省にし、自衛隊は軍隊にする。教育基本法は改定を重ねて教育勅語にまで持って行く。そういうことを目論む連中が一定数いて、現首相のような「半わかり」を担ぐのだ。
小渕首相の在任時も「真空総理」などと揶揄されたが、ブッシュ米国大統領の背後にいるネオコンや戦前の天皇の勅命を錦の旗にした軍部独走体制も同じで、訳の分からないトップの影に潜って蠢く集団というのが一番気持ちが悪い。