昨日で終業式も無事終わり、これから「ほんの少しだけ」時間に余裕のある生活ができそうである。今年は土日含んで9月2日まで夏休みが44日間ある。そこで、2学期に入ってからの小論文指導の準備も兼ねて、今日から44冊の本を読むことを目標とした。新書を多めに、知的好奇心をビンビンに刺激する読書三昧の夏になればよい。
夏の1冊目
三浦展『下流社会:新たな階層集団の出現』(光文社新書 2005)を読む。
マーケティング調査による具体的な数字の表が並び、そこから読み取れる社会的背景や具体的な市場動向が網羅された本で、読むというよりは勉強させられているような雰囲気になってしまう内容である。
私たち団塊ジュニア世代について、著者は「現在30歳前後の世代は、少年期に非常に豊かな消費生活を享受してしまった世代であるため、今後は年を取れば取るほど消費生活の水準が落ちていくという不安が大きい」そのため、「これから結婚して、子どもを産もうという年齢の時に、将来の消費生活の向上が確信できないのだから、階層意識が一気に低下するのもやむをえない」と厳しい論評を展開する。
そしてこの世代は上の世代に比べて自分らしさを重んじる傾向があるが、自己実現感覚をベースに自分らしさを追求する者ほど、未婚者、子どものない者、非正規雇用者の割合が多いという現実を数字でまざまざと証明する。「自分らしさ」「自己能力感」「個性尊重」「夢を追う」といったこれまで疑いようもなかった理念が、実態の数字の上では、下流社会への呼び水になっていたというのでは、80年代〜90年代の教育は一体何だったのかとやるせない気持ちになってしまう。