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榊原英資『インドIT革命の驚異』(文春新書 2001)を読む。
ミスター円こと榊原氏の名前が冠してあるが、内容の大半は慶応大学グローバルセキュリティ・リサーチセンターの研究員によるものである。工業化=近代化という経済発展の公式を打ち破り、農業改革から突然情報産業の重点化へとシフトを移しつつあるインドの現状を分析しながら、グローバリゼーションの進展を概観しようとするものだ。日本ではちょうどバブル崩壊後の、輸出産業の行き詰まりの果てに、IT革命と軌を同じくしてグローバリゼーションがやって来ており、ごく自然に受け入れられた感がある。しかしインドでは都市のごく一部の英語の使える富裕層にのみグローバリゼーションの恩恵がやってきており、新たな「カースト」制度が生み出されてしまう危険性がある。