友人から「心神喪失者医療観察法案」の国会上程についてのメールが来たので少々紹介したい。
今国会に心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(案)」(心神喪失者医療観察法案)が上程され、審議入り間近の状況である。この法案は「観察」と名打っているが、実際は「精神障害者」の監禁という性格を持つ。この法案は違法行為を行なったとされる精神障害者が心神喪失を理由に裁判にならなかったか、あるいは無罪等の判決を受けたときに、再び同様の行為を行なうおそれがあるとされれば、最長5年の通院、もしくは無期的な入院措置が強制的に行われるというものだ。そもそも「精神障害」の定義づけすら誤解を生じている中、将来にわたって一人の人間の犯罪を行なう可能性を予見することなど不可能である。また証人申請の権利すらも認められていないなど、防御権が保障されていないので、拡大解釈によって対象が無限に広がってしまう。「推定無罪」という刑事訴訟法の原則すらも踏みにじるこの法案は、「精神的疾患」が原因となった犯罪の増加という面からのみ考えるのではなく、組織的犯罪対策法、有事法整備、住民基本台帳改悪=国民背番号制などと一緒に捉えていく必要がある。
詳細は現代書館刊フォービギナーズシリーズ『精神医療』の著者である長野英子さんのホームページを拝見ください。