読書」カテゴリーアーカイブ

『男の人って、どうしてこうなの?』

スティーブ・ビダルフ『男の人って、どうしてこうなの?』(2003 草思社)を50ページほど読む。
興味を引くようなタイトルなのだが、いかにも欧米的な価値観や家族論、具体例に基づいた内容なので、あまり内容が頭に入ってこなかった。著者は、現在の社会に男性を一人前にする社会的な仕組みがないと述べる。そして、猛々しく、支配的で、競争社会を脇目もふらずに勝ち抜いていくべきであるというジェンダー的な抑圧から自由になり、父親との関係を修復し、妻と対等に向き合い、子どもや同性の親友と積極的に関わりあうことで、男性の成長が望めると述べる。
この手の欧米型生き方ハウツー本は言わんとすることは分かるのだが、どうもすんなりと主張が腑に落ちない。

『最新現場報告 子育ての発達心理学』

清野博子『最新現場報告 子育ての発達心理学:育つ育てられる親と子』(講談社+α新書 2002)を3分の2ほど読む。
全60回に及ぶ新聞連載に大幅加筆されたものである。不条理で辛い子育てを受け入れることで、親としての自覚が生まれ、自分自身の生き方が見えてくる「親育て」の子育て論が展開されている。子どもの心身の発達段階に応じた関わりや環境の大切さが垣間見えた。
しかし、ページを繰っていくうちに、子育てのハウツー本を読んでいるような気がして、途中で読むのをやめてしまった。

『スポーツに効く! 体幹トレーニング』

本橋恵美『スポーツに効く! 体幹トレーニング:トップアスリートが実践するピラティスの効能』(スキージャーナル 2009)を読む。
野球やラグビー、陸上競技界のトップアスリートの話や、横隔膜の働きから呼吸法、体幹の6つの機能など、運動機能に基づいた科学的な解説が分かりやすく書かれており、一気に読んでしまった。これまで武道的な身体の使い方や宇城憲治さんの身体理論、ヨガ、胴体力など様々な本を読んできたが、この本でまさに目から鱗が落ちるように、これまで曖昧なままであった身体の機能理論が繋がったような気がした。

『インド対パキスタン』

西脇文昭『インド対パキスタン:核戦略で読む国際関係』(講談社現代新書 1998)を読む。
1998年5月に相次いで実施されたインドとパキスタン両国の核実験を受けて執筆された本である。
インドとパキスタンのイギリスからの独立以降の歴史から、カシミールの帰属の背景、両国の核開発の中心人物や経緯、インドが開発を進めているプルトニウム型(長崎型)兵器とパキスタンが実験を行ったウラン型(広島型)兵器の違い、今後の両国の関係に影響する中国と米国の外交戦略などが分かりやすく説明されている。特に、本論の中心テーマではないが、原子力発電と原爆の違いや、ウラン238からプルトニウムが生成されるプロセスといった科学的な内容がよく理解できた。

著者によると、パキスタンの核開発は大国インドとの対立関係上進められる消極的なものであり、また、インドの核実験も国境を接する中国に対する戦略の上であり、そして、その中国も米国との覇権の対抗上核開発を進めているとのこと。つまり、全て核の抑止力という危険な国策で繋がっているのである。さらに、著者は、その米国自身がソ連への対抗上パキスタンを支援したり、10億人のマーケットを米国が支配するためにインドの軍事開発を大目に見たりしているために、一地域の問題が国際関係にまで悪影響を及ぼしていると示唆する。
インドとパキスタンの対立と聞いても、日本人は遠い国の関係のように思うが、現実は、米国の核の傘の下にいる日本とは切っても切り話せない問題である。

『ケータイを持ったサル』

正高信男『ケータイを持ったサル:「人間らしさ」の崩壊』(中公新書 2003)を読む。
京都大学霊長類研究所で教授を務める著者が、サルの社会性や家族構造、群れの行動原理などの研究の見地から、人間の社会行動原理に分析を加えている。
週刊誌のタイトルと見紛うような、「マザコン進化史」「子離れしない妻と居場所のない夫」「「メル友を持ったニホンザル」「『関係できない症候群』の蔓延」「社会的かしこさは四〇歳で衰える」「そして子どもをつくらなくなった!」の6章で構成されている。
サルは基本的に群れから出ず、群れの中だけの生活で一生を終える。著者は最近の日本人もそうしたサルの生活スタイルに回帰していると結論づける。母子密着、子離れできない母、家庭的な会社のムードから逃れられない父、言語以前のコミュニケーションの終始する女子高生、親という責任を引き受けたくない若者などをサルの群れの原理から説明を加えている。途中比較行動学研究の調査データの話も出てくるが、公共的な世界に生きることで育まれる真の人間らしさの崩壊のあらましが分かりやく述べられていた。
久しぶりに、新書一冊を一気に読むという経験をした。目が疲れた。