読書」カテゴリーアーカイブ

『「伊勢物語」殺人事件』

斎藤栄『「伊勢物語」殺人事件』(徳間文庫 1999)を読む。
1975年に刊行された古い本の文庫化である。当時流行り始めた競技スポーツのオリエンテーリングと「伊勢物語」の「東下り」をモチーフとした推理小説である。オリエンテーリングというと、30年前の小学校の遠足や子どもの幼稚園の遠足でしか経験からグループの親睦を深めるレクリエーションだと思っていた。しかし、海外では頭を使いタイムを競うハードなアウトドアスポーツとして広がっている。また、「伊勢物語」の方も「かきつばた」の折り句や在原業平の生い立ちなどにも触れられている。「国鉄」という響きやまだ開発前の埼玉県三芳町の風景など、「時代」小説としても楽しむことができた。

『スーパー戦隊大図鑑』

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ここ2・3ヶ月、真ん中と下の子が家で、『スーパー戦隊大図鑑』(ポプラ社 2013)にハマっている。
「ゴレンジャー」から先日放映が終了した「キョウリュウジャー」までの37の戦隊が全て網羅されている図鑑である。合計で200人以上のスーパー戦隊と、それぞれの戦隊が使う変身グッズや武器、乗り物、大型ロボが見開き2ページから6ページで紹介されている。
真ん中の来月5歳になる長男は、表紙のバラバラに並べられた戦隊の写真を見ただけで、全て名前をそらで言えるようになった。親バカであるが我が子ながら天才ではないかと思う程熱中して覚えている。トミカの時もそうであったが、男の子の好きなものに対する集中力にはビックリするほど感心してしまう。この能力を他に生かせれば大成するはずなのだが、スーパー戦隊以外のものに対する興味は皆無である。
真ん中の子は「ゴレンジャー」が大好きで、特に「あかレッド」が好みだという。下の子は「カーレンジャー」がお気に入りなのだが、一体「カーレンジャー」の何が彼の琴線に引っかかったのだろうか。

先日、歯医者の診察台で時間を持て余していたら、サッカーダイジェストという雑誌を手渡された。ページを開くと各チームのメンバーの紹介や戦力、戦術が載っていたのだが、『スーパー戦隊大図鑑』とそっくりであった。幼児向けの戦隊図鑑の方がスポーツ雑誌の体裁を真似したのか、スポーツ雑誌の方が戦隊図鑑を真似したのか分からないが、男の子の独特な興味関心の矛先のありように面白さを感じる。

『ローマ帝国』

青柳正規『ローマ帝国』(岩波ジュニア新書 2004)を20ページほど読む。
昨日『タリバン』を読んで、世界史の知識がまるで抜けている頭の悪さを実感し、とりあえず「ローマ」の歴史でも学び直そうかと手に取ってみた。しかし、「ジュニア新書」とは名ばかりであり、西洋史を専攻している大学生が読むような「分かりやすい専門書」レベルの内容であった。
昨日のアフガニスタンを巡る戦争は、宗教に不寛容な社会主義国の旧ソ連(ロシア)と、宗教による政治を理念とするイスラム原理主義の対立が要因となっていた。ローマは4世紀初頭に大きな混乱期を迎えるが、コンスタンティヌス帝が324年にキリスト教を容認してから以後150年も国家が存続している。時代は大きく異なるが、宗教と国家を考えるよい材料である。
今回は、投げ出してしまったが、今年は東洋史、西洋史のレポートの中で、国家と宗教、言語、文化の関係について、少し考察を深めていきたい。

『タリバン』

田中宇『タリバン』(光文社新書 2001)を読む。
昨夜観た映画『ローン・サバイバー』でのアフガニスタン紛争を理解したいと思い手に取ってみた。
日本人には分かりにくい急進的なイスラム原理主義を、明治維新での攘夷運動との類似に触れながら解説を加えるなど、ムガル帝国のインド支配やオスマントルコ崩壊後のイギリス外交など世界史に遡って、アフガニスタンを巡る政治や外交について分かりやすく説明されている。特に、ソ連侵攻後から現在に至るまでの隣国パキスタンとの関係——難民キャンプの実態や武器や薬物の密輸の現実——がよくまとめられている。

昨日の映画でも、タリバン側の兵士が地上から肩に掛けたロケットランチャーで空中を飛ぶヘリコプターを撃ち落とすシーンがあったが、米国産の強力な武器で逆に米国の兵士が追い詰められていく現実とその歴史的背景が理解できた。アフガニスタン周辺の国や地形、地理的環境など、地政学的観点から説明されており、地図片手に勉強になる一冊であった。

ちょっと眠いためか、長ったらしく意味の取りにくい文章になってしまいました。。。

『足元に活断層』

金折裕司『足元に活断層』(朝日新聞社 1995)を読む。
阪神大震災のすぐ後に出版された本で、執筆当時岐阜大学で応用地球科学を専攻していた著者が、特に中部地域(糸魚川—静岡構造線の西側、中央構造線の北側)での地震の発生メカニズムとその予知の可能性について語る。
タイトルを見ると軽めの本かと勘違いするが、中身は地学の専門書に近い内容のものであった。途中地震のマグニチュードとその発生頻度をlogで表した式などが載っていたが、さあっと読み飛ばした。

金折氏は「内陸直下型地震は地殻を切る構造線の活動で起きる。活断層はその活動に反映して地表に現れた破壊面(キズ)である」という持論のもと、大陸プレートの褶曲部に位置する糸魚川—静岡構造線や、諏訪湖から大分別府まで延びる中央構造線、敦賀湾—伊勢湾構造線、有馬—高槻構造線などに加え、フィリピン海プレートの境界部にある相模トラフや南海トラフが地震エネルギー発生地点であると述べる。
局所的には地震の発生の仕組みも、その周期も解明されているのだが、地震はその公式通りには発生しない。構造線のズレで発生したエネルギーが離れた地点で生じたり、一つのズレがたのズレを引き起こしたりする。結局は地震の発生原因は後付けになってしまい、予知そのものの信憑性にすら疑問が投げかけられている。

「エピローグ」の中で、金折氏は自身の研究を振り返って次のように述べる。

地震をいくら詳しく研究しても、断層をいくら細かく調査しても、そこからは何も生まれてこない。自然現象を研究しようとするなら、地震や断層から何を知り、何を解明しようとするのか、何を知ることが人類にとって一番重要なのかを、十分に考えていく必要があろう。目的のない研究からは何も生まれてこない。