斎藤栄『「伊勢物語」殺人事件』(徳間文庫 1999)を読む。
1975年に刊行された古い本の文庫化である。当時流行り始めた競技スポーツのオリエンテーリングと「伊勢物語」の「東下り」をモチーフとした推理小説である。オリエンテーリングというと、30年前の小学校の遠足や子どもの幼稚園の遠足でしか経験からグループの親睦を深めるレクリエーションだと思っていた。しかし、海外では頭を使いタイムを競うハードなアウトドアスポーツとして広がっている。また、「伊勢物語」の方も「かきつばた」の折り句や在原業平の生い立ちなどにも触れられている。「国鉄」という響きやまだ開発前の埼玉県三芳町の風景など、「時代」小説としても楽しむことができた。
『「伊勢物語」殺人事件』
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