浅井信雄『民族世界地図』(新潮文庫 1997)を読む。
著者は「民族」というのものは,単純に言語や宗教,血縁,文化などによって定義できないものであり,他民族との摩擦や衝突によって意識される観念的な後知恵であると述べる。そうした政治状況や経済状況によって容易に揺れ動く不定義なナショナリズムを頼りに,主に冷戦崩壊以降の89年から90年代前半にかけての世界各地で勃発した民族紛争が取り上げている。
ユーゴスラヴィアに始まり,アゼルバイジャンとアルメニアの対立やジョージアにおける南オセチア自治州の独立問題,ロシア内のカレリア共和国の独立,クルド人やジプシー,バスク人の運動など,アラブやスラブの定義などがわかりやすくまとめられている。また,ルーマニアの西側にあるモルドバ共和國や,アフリカ・エチオピアから独立したエリトリアなど,恥ずかしながら初めて存在を知った国もあった。
著者は既に鬼籍に入られているが,特派記者として世界を駆け巡った体験に根ざして,わかりやすく中立的に民族について紐解く語り口は大変心地よい。
「読書」カテゴリーアーカイブ
『世界一の男を探す旅』
渡辺ひろ乃『世界一の男を探す旅』(幻冬社文庫 2012)を読む。
著者が旅した世界40カ国の中から21カ国を挙げ,それぞれの国の性愛事情が紹介されている。
特にカリブ海沿岸に位置するドミニカ共和国,ハイチ,キューバ,米領プエルトリコ,ベリーズ,ホンジュラスといった国でのセックス体験やベッドでの会話,男性ペニス比較は,それぞれの国情も垣間見えて面白かった。
それにしても,世界各国で結婚詐欺まがいの行為や激しい性行為を繰り返す,著者の渡辺さんはいったい如何なる人物なのか。
『土屋の[古文]:ナンセンス編』
土屋博映『土屋の[古文]:ナンセンス編』(大和書房 1985)をパラパラと読み返す。
授業の参考にしようとしていたのだが,ほとんど読まないまま職場の引き出しの奥に眠っていた本である。
ラジオに出演した時の小咄や,下ネタを交えた語呂合わせによる文法の覚え方などを交えて,代表的な作品の読み方がまとめられている。「入試問題で空欄があったら,係助詞『こそ』を入れておけ」とか,「何形と問われたら,連体形と答えておけ」といったあるあるテクニックなども紹介されているが,当時の重箱の隅をつつくような入試問題がありありとよみがえってくる。
『問題な日本語』
北原保雄編『問題な日本語:どこがおかしい? 何がおかしい?』(大修館書店 2004)をパラパラと読み返す。
この本も授業の小ネタ用に職場の机上に用意しておいた本である。言葉の誤用について私自身が鈍感なせいもあり,あまりネタとして活用しないままであった。
読み返す中で,「雰囲気(ふんいき)」を「ふいんき」と読むのはおかしいという項目が目に留まった。確かに「雰囲気」を「ふいんき」とは読めないのだが,これと同じような現象が,「あらた(新)」→「あたら」→「あたらしい」や,「さんざか(山茶花)」→「さざんか」などに見られ,「ふいんき」も広く定着する可能性があるというのは興味深かった。
『漢字の知恵』
遠藤哲夫『漢字の知恵』(講談社現代新書 1988)をパラパラと読み返す。
職場に置いてあったもので,漢字テストの際の小ネタとして活用しようと思っていた本である。
300字ほどの漢字について,甲骨文字や金文,小篆などに遡って成り立ちや本来の意味について解説を加えている。
当時の人のものの見方や中国人と日本人の感覚の違いなどに触れている。
「烏」や「羊」「色」などの字義など授業で活用させてもらったのが印象深い。
