内田康夫『恐山殺人事件』(角川文庫 1989)を読む。
1988年に刊行された本の文庫化である。
イタコの不思議な予言に那須火山帯を組み合わせるという斬新な発想で読み応えがあった。
「読書」カテゴリーアーカイブ
『新しい世界地図』
新しい世界地図製作委員会・著『新しい世界地図:世界日本語的珍地名』(あートン 2005)をパラパラと眺める。
日本語として変な世界の地名を取り上げる趣味的な本。何の意味があるのかと思った。
『ピケティ入門』
竹信三恵子『ピケティ入門:『21世紀の資本』の読み方』(金曜日 2014)を読む。
ピケティの経済の専門書『21世紀の資本』をばっさりと要約した上、日本の格差拡大の現状分析に用いるという内容で、知ったかぶりをしたいだけの私にぴったりの著書であった。
ざっくりまとめると、ピケティはある国の資産の蓄積度を「資本/所得比率」で計算し、さらに、「貯蓄率/経済成長率」が資産の蓄積度と一致することを明らかにしている。そして戦争時を除いて、経済成長率よりも貯蓄率の方が上回るため、資産の蓄積度は自然と上昇していく。そこで、格差を縮小する相続税や所得税といった税制やインフレ政策が必要だと説く。
金持ちがますます金持ちになり、貧困層が固定化されてしまう現代社会に対し、ピケティは、所得税の累進税率の強化を訴える。しかし、それだと税率の低い国へ企業も資産家も逃げてしまう。そこで、ピケティは住宅や不動産、金融資産などすべての資産に対し、世界的なネットワークで課税する「世界的資本税」を提案する。
日本も累進課税の引き下げにより、資本/所得比率が上昇している。1970年には3だったものが、1990年には7に増加している。「成功者は高所得を貰って当然」とか「貧困は自己責任」といった感情的な格差論を廃し、制度的に格差を縮小していく一歩を歩み出していくべきだと著者は述べる。
『京大芸人式日本史』
菅広文『京大芸人式日本史』(幻冬舎 2014)を読む。
お笑い芸人ロザンの著者が、縄文時代から第二次世界大戦までの各時代をタイムワープして、それぞれの時代の有名人と会話をするという内容である。「ノリ・ツッコミ」の漫才で話が展開していくので、一気に読み終えた。
歴史上の人物や文化を扱うのではなく、土地制度や税制、政治制度を説明しているので、歴史の勉強にも役立つ。
おおざっぱに言うと日本史の流れは1つだ。
それは「土地は誰のものですか?」である。幕府が265年も続いた要因のいちばんは、ある決まりごとを作ったからだと思う。それは禁中並公家諸法度だ。この決まりごとは今までの歴史にはない。えらいさんを取り締まることが出来るルールだった。
『教室の亡霊』
内田康夫『教室の亡霊』(中公文庫 2013)を読む。
群馬県の教員採用試験に絡む殺人事件をご存知浅見光彦が見事に解決する。
人物本位を建前する教員ゆえに、コネが幅をきかせる閉鎖的な構造を白日のもとに晒す。
つい10年ほど前の話なのに、現在の教員人気の落ち込みに比べると、隔世の感を禁じ得ない。
