読書」カテゴリーアーカイブ

『ルート66をゆく』

松尾理也『ルート66をゆく:アメリカの「保守」を訪ねて』(新潮新書 2006)を読む。
共和党の票田となっているアメリカ中西部の「保守」層を訪ねるルポルタージュである。一般にニューヨークやワシントンなどの東海岸とサンフランシスコなどの西海岸、それにラストベルトの労働組合の支持が強い五大湖周辺は民主党の支持基盤となっており、それ以外の南部や中西部は共和党の支持が強い地域とされる。しかし、中西部の保守層がイコール現在の共和党支持者というわけでもない。著者は次のような疑問を抱えて現地に趣く。

「昔、学校で共和党は北部の資本家たちの党、民主党は南部の地主や農民らの党と教わりませんでしたか」
「はい、そう教わりました」
「ところが今、民主党は都市部、共和党は地方の党、いわば正反対になってしまった。なぜだと思います?」(中略)
「わからなくても、恥ずかしがることはない。実は、みんなよくわからないんですよ。アメリカ人に聞いても、なかなか納得のいく答えは返ってこない。いろんな人がいろんなふうに説明してはいるけれど、ほんとうのところはよくわからない。だから、現地に行って肌で空気を感じてくることは、それだけで意味がある、と思いますね」

『クジラ 大海原をゆく』

水口博也『クジラ 大海原をゆく』(岩波ジュニア新書 1992)をパラパラと読む。
普通の魚は尾鰭が縦についているが、陸上の哺乳類が再び海に戻って進化したクジラは、尾鰭が横についている。また、マッコウクジラは生涯のほとんどを深さ2,000メートル以上の真っ暗闇の深海で生活している。

『ダイエットに強くなる』

奥田拓道『ダイエットに強くなる』(岩波ジュニア新書 1992)をパラパラと読む。
脂肪や消化の化学的・生物的説明が続くだけで、「ダイエットの方法を教える」というよりも、「ダイエットの科学的知識を授けよう」という内容で、ほとんど頭に入ってこなかった。

『ブラを捨て旅に出よう』

歩りえこ『ブラを捨て旅に出よう:貧乏乙女の”世界一周”旅行記』(講談社文庫 2012)を読む。
世界の政治や貧困といった高尚なレポートではなく、勝手気ままに働きながら、ただひたすら観光を楽しむ肩の力の抜けた旅行日記である。読んでいる方も気楽で良い。
最後に著者は次のように述べる。

言葉というものは意思疎通の手段に過ぎず、一番大事なのは表情でコミュニケーションをとることだ。笑顔ひとつあれば、たとて言葉がわからなくても気持ちは通じるし、怒っている時は口をへの字にするだけでおのずと相手に伝わる。嬉しいときは素直に笑う、そんなシンプルなコミュニケーションだけで世界中を旅できてしまうのだ。

『南極情報101』

神沼克伊『南極情報101』(岩波ジュニア新書 1983)を読む。
世界で5番目に大きく、日本の36倍の面積を有する南極大陸に何度も訪れた経験から、南極の風景や地理情報、生物、歴史などが分かりやすい口調で語られる。

南極は北極よりも気温にして約20度低いという結論が得られている。その原因は2つあり、1つは、公転軌道の関係で南極の夏は北極に比べ7〜8日短いというものだ。もう1つは、南極の氷床の表面では、太陽エネルギーの80〜90%も反射してしまい、放射エネルギーによる温度上昇が限られるという点である。

また、ナンキョクオキアミは10億から30億トンも生息しているとされる。オキアミは総量の5パーセントまでならとり続けても自然の生態を壊すことはないと推定されている。1億トン、つまり現在の世界の漁獲量に等しい水産資源がオキアミだけでまかなえる計算である。すでにオキアミはカマボコや魚肉ソーセージに加工されて家庭の食卓にものっているもので、今後ますますオキアミに豊富に含まれるタンパク質が重要となってくる。