神沼克伊『南極情報101』(岩波ジュニア新書 1983)を読む。
世界で5番目に大きく、日本の36倍の面積を有する南極大陸に何度も訪れた経験から、南極の風景や地理情報、生物、歴史などが分かりやすい口調で語られる。
南極は北極よりも気温にして約20度低いという結論が得られている。その原因は2つあり、1つは、公転軌道の関係で南極の夏は北極に比べ7〜8日短いというものだ。もう1つは、南極の氷床の表面では、太陽エネルギーの80〜90%も反射してしまい、放射エネルギーによる温度上昇が限られるという点である。
また、ナンキョクオキアミは10億から30億トンも生息しているとされる。オキアミは総量の5パーセントまでならとり続けても自然の生態を壊すことはないと推定されている。1億トン、つまり現在の世界の漁獲量に等しい水産資源がオキアミだけでまかなえる計算である。すでにオキアミはカマボコや魚肉ソーセージに加工されて家庭の食卓にものっているもので、今後ますますオキアミに豊富に含まれるタンパク質が重要となってくる。