松尾理也『ルート66をゆく:アメリカの「保守」を訪ねて』(新潮新書 2006)を読む。
共和党の票田となっているアメリカ中西部の「保守」層を訪ねるルポルタージュである。一般にニューヨークやワシントンなどの東海岸とサンフランシスコなどの西海岸、それにラストベルトの労働組合の支持が強い五大湖周辺は民主党の支持基盤となっており、それ以外の南部や中西部は共和党の支持が強い地域とされる。しかし、中西部の保守層がイコール現在の共和党支持者というわけでもない。著者は次のような疑問を抱えて現地に趣く。
「昔、学校で共和党は北部の資本家たちの党、民主党は南部の地主や農民らの党と教わりませんでしたか」
「はい、そう教わりました」
「ところが今、民主党は都市部、共和党は地方の党、いわば正反対になってしまった。なぜだと思います?」(中略)
「わからなくても、恥ずかしがることはない。実は、みんなよくわからないんですよ。アメリカ人に聞いても、なかなか納得のいく答えは返ってこない。いろんな人がいろんなふうに説明してはいるけれど、ほんとうのところはよくわからない。だから、現地に行って肌で空気を感じてくることは、それだけで意味がある、と思いますね」