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『ともだち刑』

雨宮処凛『ともだち刑』(講談社 2005)を読む。
著者の経歴に近い私小説のような作品である。美大予備校を中退し実家に帰る女性の現在進行形の物語と予備校での学生生活の振り返り、中学校時代の部活動の思い出の3つの物語が同時進行で展開されていく。話の中心は中学校時代の部活動であり、”ともだち”という括りゆえに、いじめを受けているにも関わらず、逃げることもできずに、ただただ心の奥底が損壊していくストーリーが綴られる。

雑誌「群像」に掲載された作品であり、純文学に近いテイストを感じた。ただ、教師の描き方が雑で、考えられないような”いじめ”の調査シーンなど、ちょっと興醒めであった。

『夜光人間』

江戸川乱歩『夜光人間』(ポプラ社 1964)を読む。
さすがに立て続けに数冊読むと、飽きが来た。今回も怪人二十面相の変装がモチーフなのだが、何度も何度も騙される明智探偵や小林少年の姿やラストシーンで繰り返されるどんでん返しも、他作品と変わり映えがなくつまらない。これはアニメ『アンパンマン』のように、勧善懲悪な物語のテンプレート形式の展開を楽しむ作品なのか。
今では死語となった「書生」という言葉が印象に残った。

『魔人ゴング』

江戸川乱歩『魔人ゴング』(ポプラ社 1970)を読む。
殺人嫌いの怪人二十面相が活躍する。伝書鳩や防空壕など1950、1960年代の香りのする小説であった。

 

『地底の魔術王』

江戸川乱歩『地底の魔術王』(ポプラ社 1964)を読む。
感想なし。明智小五郎と怪人二十面相との間でドンデン返しが続くのだが、読んでいるうちに飽きてしまった。「焼け跡の広場」というワードが印象に残った。

 

『恐怖の魔人王』

江戸川乱歩『恐怖の魔人王』(ポプラ社 1972)を読む。
表題作の他、短編の『黒手組』が収録されている。どちらも実は被害者とも加害者とも近い関係の者が犯人だったとのどんでん返しが用意されているのだが、設定が強引すぎて興醒めだった。