読書」カテゴリーアーカイブ

『魔法博士』

江戸川乱歩『魔法博士』(ポプラ社 1970)をパラパラと読む。
20年前の防空壕が残されていたり、オート三輪の小型自動車が登場したり、小林少年が足尾銅山で真っ赤に溶けた銅が流れ出す光景を思い出したりと、1960年代半ばの時代を感じる風景描写が描かれている。

話の方は全く移入できなかった。見事に明智小五郎に化ける怪人二十面相と、怪人二十面相に化ける明智小五郎の対決という、およそミステリーとは無縁のドタバタ劇が繰り返される。

『英語辞書を使いこなそう』

浜野実『英語辞書を使いこなそう』(岩波ジュニア新書 1999)を手に取ってみた。
高校教諭の著者なので、高校での英語の授業の応用編のような内容となっている。最後に著者は次のように述べる。

紙の辞書がこの世から消滅するようなことはないでしょう。電子辞書やCD-ROMに比べ、たしかに重くて、場所をとり、検索に手間がかかることは間違いありませんが、何というか、古来からの人間と紙の関係は、切っても切れないものであり、もともと人間は、紙が大好きなのです。紙の肌触りといい、紙のにおいといい、何か心を落ち着かせてくれるものです。
紙の辞書は紙の辞書で、’user-friendly’を合いことばにさらに改良され、私たちの英語学習の心強い味方となってくれるでしょう。

ペーパーレス、キャッシュレスの現在において、著者の言葉はすでに懐かしいものに感じる。果たして人間と紙の関係はどうなるのであろうか。

『英単語に強くなる』

林信孝『英単語に強くなる』(岩波ジュニア新書 1995)を手に取ってみた。
語源に関する本である。数百の英単語に共通する40語のラテン語の語根が紹介されている。
ラテン語はローマの公用語であった。ではラテンがどこから来ているのかというと、ローマ市内にあるラティウムと呼ばれる小さな丘のあたりで話されていたマイナーな言語であったようだ。そのラテン語由来の言語が世界を覆い尽くしている。いかにローマが言語だけでなく、世界標準の政治や技術を生み出してきたかということの証左ともなっている。

『プラチナデータ』

東野圭吾『プラチナデータ』(幻冬社文庫 2012)を朝方までかかって読んだ。
冒頭から一気に作品世界に引き込まれていく。DNAデータの管理、天才的数学者、多重人格者、米国から送り込まれた女スパイと一つだけでも十分に作品のモチーフとなるようなものが、次から次へと登場してくる。
最後はSF小説ではなく、刑事ドラマミステリーという枠に収まったが、作品前半のワクワク感はたまらない。

『新しい英文リスニング』

天満美智子『新しい英文リスニング』(岩波ジュニア新書 2000)を少しだけ読む。
CDシングルが付属しており、CDに録音された会話を聞き取るという本のなので、CDを聴く機器を持っていないので、序文と跋文だけ読んだ。リスニングのコツは単語一語一語を聞き取ろうとするのではなく、会話にリズムを聞き取るのだという、分かったような分からないような結論であった。