『魔法博士』

江戸川乱歩『魔法博士』(ポプラ社 1970)をパラパラと読む。
20年前の防空壕が残されていたり、オート三輪の小型自動車が登場したり、小林少年が足尾銅山で真っ赤に溶けた銅が流れ出す光景を思い出したりと、1960年代半ばの時代を感じる風景描写が描かれている。

話の方は全く移入できなかった。見事に明智小五郎に化ける怪人二十面相と、怪人二十面相に化ける明智小五郎の対決という、およそミステリーとは無縁のドタバタ劇が繰り返される。