地理」カテゴリーアーカイブ

「G7声明『台湾』明記」

本日の東京新聞夕刊より。
昨日閉幕したG7サミットの首脳声明の中で、「台湾海峡の平和と安定の重要性」が明記されたとのこと。中国の福建省と台湾島の間を台湾海峡と言うが、これまで世界各国は中国に配慮して「台湾海峡」という名称の使用を避けてきた経緯がある。しかし、今回のG7の声明では、緊張関係になる中国と台湾の間に位置する台湾海峡といったニュアンスで用いられている。皆さんが使っている帝国書院の地図帳で「台湾」を確認してください。国名は赤字で表記されていますが、台湾は赤字となっておりません。台湾海峡とあえて明記することは、中国と台湾は別の国だと遠まわしに指摘していることに相違ない。

私たち日本人の感覚に即してみると、「日本と北海道の間の津軽海峡の安全」や「日本と九州を隔てる関門海峡の安定」と表現されれば、「おや?」と思うであろう。G7がわざわざ「台湾海峡」と明記することの政治的意図が読み取れるであろうか。

「周庭氏 沈黙の出所」

本日の東京新聞朝刊記事より。
香港の学生運動、民主化運動の象徴だった周庭さんが、反政府デモを扇動した罪で禁錮10か月の実兄判決を受け収監されていたが、昨日朝、出所したとの記事が掲載されていた。半年以上も刑務所にいたので、まずは心身ともにゆっくりと休んでほしい。また、日本を含む欧米メディアも、彼女を利用するのはやめて頂きたい。そして、問題の根源である中国政府の姿勢に真摯にぶつかってほしい。

「G7巡り中国が牽制」

本日の東京新聞に、連日テレビニュースで取り上げられているG7サミットに関する記事が掲載されていた。菅総理のオリンピック開催の呼びかけに注目が集まっているが、今回のサミットでG7サイドと中国の対立がより鮮明になった点に触れておきたい。

そもそもG7サミットとは、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国、米国の7か国のことで、イギリスやアメリカ型の自由や民主主義など共通の価値観を持つ国の首脳会議である。
一時期ロシアが加盟したこともあったが、ウクライナ問題を契機に外れている。もともと反共産主義で、大国に有利な自由経済のルールを策定し、さらに言葉は悪いが、政府に近い筋の企業が各種の国連絡みのプログラムを通じて利益が出る(名前が売れる)ような仕組みを構築するという共通の利害を持つので、比較的議論はまとまりやすい。

今回のG7で決まったワクチン外交やコロナウイルスの起源の究明、アフリカなどの途上国への支援、人権侵害への懸念など、先進国による世界的な貢献の議論が展開されたと思いがちである。たしかに、香港や新疆ウイグル自治区での弾圧やロシアの周辺国への軍事的威圧などを考えれば、G7の対応に瑕疵は見当たらない。しかし、その議論の行く末の多くが中国やロシアの経済的発展を封じる予防線ともなっている。そうした点では、中国政府の非難は正鵠を射ている。

バイデン政権誕生以降、いよいよG7にオーストラリアやインドを加えた旧西側勢力と、中国やロシアなどの旧共産主義国を中心とした勢力の対立が露わとなっている。

「出生数最少に」

本日の東京新聞の社説より。
地理の授業や試験で、個別の国の少子化に関する細かい原因や解決策について問われることは少ないが、他国との比較がよく出題されるので、簡単に触れておきたい。2020年の日本の出生数は840,832人で、合計特殊出生率は1.34となっている。1.30中国も同様の傾向を示している。韓国は同0.84となっており、極めて深刻な状況である。
先進国全般、出生率は低いが、1.8近い出生率を維持するアメリカやフランスといった国もある。また、逆にアフリカでは人口爆発が続いており、ナイジェリアでは5.2という数値になっている。こうした背景について、授業の中で一緒に考えていきたい。

「米副大統領 外遊デビュー」

本日の東京新聞朝刊に、米国の女性初のハリス副大統領の外遊先での会見内容掲載されていた。記事によると、ハリス副大統領はグアテマラを訪れ、隣国のエルサルバドルやホンジュラスを含めた中米諸国からメキシコを経由して、米国の国境を訃不法に越える移民に対し、懸念を示したとのこと。メキシコ以南の中南米諸国はブラジル(と極一部の国)を除いて、全てスペイン語が共通語となっている。また、米国西部のカリフォルニア州民の3割が近くがスペイン語を話しており、選挙公報、確定申告など公的文書にもスペイン語が併記されている。やはり、言語の壁がないという点が、移民を促す要素となっている点に着目しておきたい。

その上で、米国民主党政権には、政治的な壁を作るのではなく、中米を含めた互恵的な貿易体制の確立という難題に向かってほしい。