本日の東京新聞に、連日テレビニュースで取り上げられているG7サミットに関する記事が掲載されていた。菅総理のオリンピック開催の呼びかけに注目が集まっているが、今回のサミットでG7サイドと中国の対立がより鮮明になった点に触れておきたい。
そもそもG7サミットとは、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国、米国の7か国のことで、イギリスやアメリカ型の自由や民主主義など共通の価値観を持つ国の首脳会議である。
一時期ロシアが加盟したこともあったが、ウクライナ問題を契機に外れている。もともと反共産主義で、大国に有利な自由経済のルールを策定し、さらに言葉は悪いが、政府に近い筋の企業が各種の国連絡みのプログラムを通じて利益が出る(名前が売れる)ような仕組みを構築するという共通の利害を持つので、比較的議論はまとまりやすい。
今回のG7で決まったワクチン外交やコロナウイルスの起源の究明、アフリカなどの途上国への支援、人権侵害への懸念など、先進国による世界的な貢献の議論が展開されたと思いがちである。たしかに、香港や新疆ウイグル自治区での弾圧やロシアの周辺国への軍事的威圧などを考えれば、G7の対応に瑕疵は見当たらない。しかし、その議論の行く末の多くが中国やロシアの経済的発展を封じる予防線ともなっている。そうした点では、中国政府の非難は正鵠を射ている。
バイデン政権誕生以降、いよいよG7にオーストラリアやインドを加えた旧西側勢力と、中国やロシアなどの旧共産主義国を中心とした勢力の対立が露わとなっている。