地理」カテゴリーアーカイブ

「19年生まれ 最少86万5000人」

本日の東京新聞朝刊に2019年生まれの赤ちゃんの数が統計開始以来最少の87万人5200人であったとの記事が掲載されていた。今年17歳を迎える高校2年生の世代が112万1000人なので、17年で77%の減少である。あまりの落差に驚きませんか。どうすれば人口減少を食い止めることができるのか、また無理に結婚や出産を強制するような風潮の是非などについて考えていきたいと思います。

明治時代以降、日本では出生率が高く死亡率が低い状態が続き、人口は急増した。しかし、第二次世界大戦後のベビーブームのあとは出生率が急激に低下し、さらに1970年代後半以降は合計特殊出生率が2.1を下まわる状態が続いている。平均寿命の伸びとあいまって、少子高齢化が進行し、1997年には老年人口が年少人口を上まわった。2005年からは人口が減少に転じ、今後、日本の人口は継続して減少することが予想される。(『新詳地理B』より)

「中印国境で小競合い続発」

本日の東京新聞朝刊に、インド北部のカシミール地方で中国軍とインド軍の兵士が衝突し、殴り合いや石の投げ合いで100人を超えるけが人が出たとの報道があった。

カシミール地方というと、中学校の地理の授業でも習うことだが、インドとパキスタンの間の領土問題でよく名前を聞くことが多い。ヒンズー教徒が多いインドが1947年にイギリスから独立する際、イスラム教徒が多い同地方がインド帰属に反旗を翻したことから、隣国のイスラム教国のパキスタンが支援に入り、印パ両国で70年以上も紛争が続いている。

そのカシミール地方であるが、隣接する中国との国境も未だ確定されていない。インドとパキスタンの両国はカシミール地方の領有を巡って核兵器の保有まで行っているので、今回のインドと中国の石の投げ合いも、現地の兵士のいざこざというだけで楽観視はできない。

また、中国は「一帯一路」構想のもと、インド洋への進出に注力しており、中央アジア〜南アジア〜インド洋といった幅広いスケールでテレビニュースを見ていくと、色々な発見ができると思う。

「サムスン『世襲廃止』宣言」

本日の東京新聞夕刊に、韓国の財閥を代表するサムスン電子が世襲をやめると表明したとの記事が掲載されていた。
ちょっと今日は3年生の登校日で疲れが出たせいもあり、教科書の文言そのままの解説でご勘弁頂きたい。

韓国では1960年代から、経済の近代化に必要な外貨を獲得するために、輸出産業のための工業団地を造成し、安価な労働力を利用して輸出用の繊維や雑貨などの軽工業製品を生産するようになった。1973年からは重化学工業の発展をめざすようになり、製鉄・造船・石油化学・自動車などの大規模な工場が次々と建設された。重化学工業の成功をはじめとする高度経済成長の達成は漢江の奇跡とよばれ、この過程で財閥とよばれる企業グループへの経済力の集中が進んだ。(帝国書院『新詳地理B』)

上記を読んで頂ければ分かるが、財閥が朝鮮戦争後の韓国の経済成長の屋台骨を支えてきた。歴代の韓国政権も財閥と蜜月な関係を保ち、財閥と軍事政権が一体となって、韓国は現在の先進工業国の地位を占めるようになった。現在の文在寅政権は財閥との関係を見つめ直すことを掲げていることもあり、韓国の経済が大きく変貌するきっかけとなるのであろう。

「渋谷署に抗議デモ隊」

本日の東京新聞朝刊に、渋谷署員によるクルド人男性への威圧的な職務質問に対する抗議デモの様子が報じられていた。
クルド人は「国を持たない世界最大の民族」とも呼ばれ、およそ4500万人近い人たちがトルコやイラク、イラン、シリアなどで生活を強いられている。もともとはオスマン帝国下の中東で暮らしていたのだが、第一次世界大戦中にイギリスとフランス、ロシアの間で結ばれたオスマン帝国分割協定によって、生活の場が人為的な国境によって分断されてしまった経緯がある。

現在、日本国内には2000人以上のクルド人がいるとも言われているが、その内の半数以上は埼玉県南部の川口市と蕨市周辺一帯(クルディスタンをもじり「ワラビスタン」とも言われている)に居住し、国内最大のクルド人コミュニティを形成している。東京の話ではなく、埼玉県民にとっても切実な話である。

ちょうど米国でも70を超える都市で黒人差別に対する抗議のデモが広がっているという報道があるが、この事件も個人的な事件としてではなく、日本国内に蔓延する人種差別に起因するものと考えていく必要があると思う。日本も外国人労働者なくしては農業や工業、サービス業が回らない現状がある。外国籍の人たちとの分け隔てのない共生に向けた具体的な方法論について考えていきたい。