本日の東京新聞朝刊に、渋谷署員によるクルド人男性への威圧的な職務質問に対する抗議デモの様子が報じられていた。
クルド人は「国を持たない世界最大の民族」とも呼ばれ、およそ4500万人近い人たちがトルコやイラク、イラン、シリアなどで生活を強いられている。もともとはオスマン帝国下の中東で暮らしていたのだが、第一次世界大戦中にイギリスとフランス、ロシアの間で結ばれたオスマン帝国分割協定によって、生活の場が人為的な国境によって分断されてしまった経緯がある。
現在、日本国内には2000人以上のクルド人がいるとも言われているが、その内の半数以上は埼玉県南部の川口市と蕨市周辺一帯(クルディスタンをもじり「ワラビスタン」とも言われている)に居住し、国内最大のクルド人コミュニティを形成している。東京の話ではなく、埼玉県民にとっても切実な話である。
ちょうど米国でも70を超える都市で黒人差別に対する抗議のデモが広がっているという報道があるが、この事件も個人的な事件としてではなく、日本国内に蔓延する人種差別に起因するものと考えていく必要があると思う。日本も外国人労働者なくしては農業や工業、サービス業が回らない現状がある。外国籍の人たちとの分け隔てのない共生に向けた具体的な方法論について考えていきたい。