投稿者「heavysnow」のアーカイブ

「中東難民ら ベラルーシで足止め」

本日の東京新聞朝刊から。
欧州入りを目指してベラルーシの国境付近に留まっている難民の経緯が明らかになってきた。
イラクやレバノンなどの中東やアフリカからの移民が、悪質な斡旋業者に騙されベラルーシくんだりまで連れてこられたというのが真相のようだ。

「移民船転覆 27人死亡」

本日の東京新聞夕刊に、英仏の間のドーヴァー海峡で移民を載せた小型ボートが転覆し、少なくとも27人が死亡したとの記事が掲載されていた。アフリカや中央アジア、西アジアの移民がEUを目指す背景は何度も授業で触れてきたところである。

大切なのは、こうした移民問題は海の向こうの事件ではなく、ほんの近い将来、日本の沿岸でも起こる可能性が極めて高い事例であるという理解である。授業冒頭のプレゼンでも、問題の内容は様々だが、「知る」「理解する」「考える」「行動する」などの結論を提示するグループが多い。

北朝鮮や台湾からの難民が日本近海に押し寄せる事態は、容易に想像することができる。そうした時に、日本政府はどのような対応を取るのであろうか。よもや江戸時代の終わりにペリーが来航した時のように、「泰平の眠りを覚ます上喜撰たった四杯で夜も眠れず」とうろたえるばかりでは済まされない。

「米国主催の民主主義サミット 台湾を含む110ヵ国・地域招待」

本日の東京新聞朝刊に、バイデン米政権が自身が主催するオンラインサミットに台湾を含む110ヵ国と地域を招待したとの記事が掲載されていた。少し気になったのが、「国と地域」という表現である。今夏の東京オリンピックでも、世界の206の国と地域が参加している(実際は北朝鮮やギニア、アフガニスタンが辞退したため161)。一体「国」「地域」と書き分ける違いはどこにあるのだろうか。

先日の授業の中でも触れたが、国家が成立するための三要素として「領域」「国民」「主権」がある。まずこの三要素がない国は国家として国際的に認められていない。 しかし、三要素を満たしていて世界的から見れば「国」であるのに、日本にとって「国」と承認していない「非公認の国」というものがある。それがいわゆる「地域」と呼ばれる。記事にもある台湾はもちろん三要素を満たし「国」として世界的に存在している。 しかし、日本は、1972年の日中共同声明において「台湾」は「中国」の一部であり「独立国ではない」という中国側の見解に与していることから、台湾は「国」には数えられていない。同様に香港や北朝鮮も、日本政府が双方に大使館を

日本と台湾は非政府間の実務関係として維持されています。 正式な外交関係を失ってはいますが、経済交流、人的交流等の各分野で発展を図っています。

「チリ大統領選 決戦投票へ」

本日の東京新聞に南米チリの大統領選挙の途中経過が報じられていた。
チリは銅鉱の輸出が世界第1位で、経済的には一人当たりGDPが12,990ドルもある平均以上の国である。中南米の「優等生」とも評され、国際社会における評価も高い。

しかし、このチリですらコロナ禍で、昨年の経済成長率は-5.8%(2020年 IMF)となり、国内で格差が拡大している。世界的な傾向であるが、国内の経済的格差が露わになると、国民の内部に憎悪が生まれてしまう。そこで政府は国外に仮想敵を作って、スケープゴートにしようとする。チリは南米の中では安定しているので、政府が破綻しかけているベネズエラから難民が押し寄せている。こうした移民を国民の共通の敵であると設定し排撃することで、世論を形成しようとするのがトランプ流の政治手法である。

ちなみにベネズエラは人口が2,795万人(2021年)もいるのに、GDPは473億ドル(2020年)である。GDP成長率は-30.0.%(2020年)であり、物価上昇率は2,355.0%(2020年)にも達する。

もう一つの手法は、国内の経済格差を縮小するために、富裕層や大企業への課税を増やし、貧困層への「分配」を重んじる社会主義的改革である。しかし、経済成長と平等な分配の両立は、口で言うほど簡単ではない。チリの大統領選の投票結果でも、決選投票となったものの、格差是正を掲げる左派勢力よりも、治安対策を訴える右派勢力の方が上回っている。