投稿者「heavysnow」のアーカイブ

『医療事務職をめざす本』

成美堂出版編集部『医療事務職をめざす本』(成美堂出版 2004)をパラパラと読む。
タイトルそのまま、女性に人気の医療事務を目指す人向けの本である。医療事務には外来患者業務、入院患者業務、レセプト業務、医療秘書業務、統計業務などに分類され、とりわけ医療報酬の請求に関わるレセプト業務が中心とされている。「診療報酬請求事務能力検定試験」を中心に、「医療事務技能審査試験」や「医療秘書技能検定試験」「「医事オペレータ技能検定試験」など、それぞれの業務に応じた資格が細かく設けられている。

正社員だけでなく、派遣やパートも多く、2021年現在では医療事務の外部委託率は40%近くとなっている。そうした非正規社員の時給や労災保険、契約期間などの待遇面も丁寧に紹介されていて、好感が持てる。ただ、高校生が手に取るには、ハードルが高い内容であった。

『〈中東〉の考え方』

酒井啓子『〈中東〉の考え方』(講談社現代新書 2010)を読む。
9.11アメリカ同時多発テロ以降の中東の動きを理解するために、第1次世界大戦に遡ってイギリスやアメリカとの関係を丁寧に説明している。著者は現在千葉大学法政経学部教授、同大学グローバル関係融合研究センター長を務める中東の研究者である。特にサウジアラビアとイラン、イラクがイギリスやアメリカの戦略に翻弄されてきた歴史が興味深かった。両国ともイスラム教スンナ派とシーア派の盟主であるが、両国ともイスラエルに肩入れするアメリカと経済的な結びつきを重視してきた。一方でアメリカはイスラエルを孤立化させないように、中東にアメリカ寄りの国家を作ってきた。1960、70年代にどんどん共産主義・社会主義化していく中東・北アフリカ諸国に対抗するアメリカの狡猾な外交も説明されている。

レバノンのヒズバラやガザ地区のハマスが、イスラーム主義の互助精神に基づいた活動を展開している点にも触れている。ちょうど「アラブの春」が起こる直前に刊行されているが、若者を中心にイスラム教の保守・独裁政権に対する反対運動や、逆にイスラム教の精神に基づく平等を訴える運動など、各国で方向性の異なる若者のパワーに着目しているのは慧眼である。

『日本語のなかの外国語』

石綿敏雄『日本語のなかの外国語』(岩波新書 1985)をパラパラと読む。
ちょうどバブル前の頃の本である。当時日本語の文章にどんどん入ってきた外国語や外来語について取り上げている。すでに40年前の本なので、当時新しかったカタカナ語も、現在は使われていないケースも多い。

当時から「ワークシェアリング」や「電子メール」という言葉があったことに驚いた。また、「ハウスマヌカン」や「エキゾチシズム」「トーキングペーパー」など、現在も存在しているのに、使われなくなった言葉もある。

大学の授業のような内容で、途中から読み飛ばした。著者の経歴を調べてみると、私の出身の大学学部学科の直系の先輩であった。

「タイ イスラム教徒ら抗議デモ」

本日の東京新聞朝刊に、タイのイスラム教徒がイスラエル大使館まで抗議デモを行ったとの記事が掲載されていた。タイの国民の95%は仏教である。そして、残りの5%がイスラム教で、その多くがマレーシアとの国境が近い南部に集まっている。世界史でいうと、14世紀から19世紀にかけて、ちょうどタイの南部にマレー系のパタニ王国というイスラム国があったことに由来する。

Wikipediaによると、旧パタニ領の一部の地域である深南部三県では、住民のタイ政府に対する反発と、黄金時代のパタニへのあこがれから、パタニ王国再興を大義名分にした分離独立運動の動きがあるとのこと。

今回の件に始まったことではないが、タイは地域的に中国の影響が強く、タイ南部の独立運動が周辺の大国の思惑に利用される懸念がある。

「学生運動 映画作りに通じ」

本日の東京新聞朝刊に、「ドキュメンタリー覚書」という連載コラムで、小川紳介監督の『圧殺の森』が取り上げられていた。学生時代にキャンパス内の上映会か何かで観た記憶があるのだが、いったいどこで観たのだろうか。