辻仁成『海峡の光』(新潮文庫 1997)を春日部温泉の湯に浸かりながら読む。
函館を舞台にした刑務所の刑務官の心情を丁寧に描く。過去のトラウマや展望のない将来に閉ざされてしまった自らの心の壁を、刑務所の外壁や海岸に囲まれた函館の土地になぞらえる。心理描写と風景描写が奇妙に一致した印象に残る作品であった。ふと地元の春日部温泉が函館の一隅にある温泉に感じられた。
『海峡の光』
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辻仁成『海峡の光』(新潮文庫 1997)を春日部温泉の湯に浸かりながら読む。
函館を舞台にした刑務所の刑務官の心情を丁寧に描く。過去のトラウマや展望のない将来に閉ざされてしまった自らの心の壁を、刑務所の外壁や海岸に囲まれた函館の土地になぞらえる。心理描写と風景描写が奇妙に一致した印象に残る作品であった。ふと地元の春日部温泉が函館の一隅にある温泉に感じられた。
本日の東京新聞に夕刊で、モスクワでの下院選挙の投票所でカシヤノフ首相が女性から卵をぶつけられる騒ぎを報じていた。
首相が投票箱に投票用紙を入れようとした時、「カシヤノフ、選挙は茶番よ!」と叫んだ女性が卵を投げつけ首相の肩に命中し、女性は取り押さえられたということだ。カシヤノフ首相はロシアの記者団に「これも民主主義の一部」と平静に答えたそうだ。前後の文脈は分からないが、ロシアの政治もかなり変わってきたようだ。まさに民衆の直接行動を包括してこそ民主主義である。イラク戦争反対の声を排外する「自由と民主主義」の政党が牛耳るどこかの国の首相だったら「民主主義を冒涜する行為である」と語気を荒げるであろう。日本における民主主義の成熟はまだまだ時間がかかりそうだ。
古田英明『転職術』(新潮OH!文庫 2002)を読む。
安易に転職を奨励するのではなく、自らの経験を踏まえて、転職時の年齢に応じたメリット・デメリットを説く。
正高信男『0歳児がことばを獲得するとき』(中公新書 1993)を読む。
言語獲得以前の0歳児は母親の口調を真似たり、揺さぶりに反応したり、意味は分からないまでもメロディーとして母親のことばを聞いている点を行動学の視点から統計的に分析している。