『海峡の光』

辻仁成『海峡の光』(新潮文庫 1997)を春日部温泉の湯に浸かりながら読む。
函館を舞台にした刑務所の刑務官の心情を丁寧に描く。過去のトラウマや展望のない将来に閉ざされてしまった自らの心の壁を、刑務所の外壁や海岸に囲まれた函館の土地になぞらえる。心理描写と風景描写が奇妙に一致した印象に残る作品であった。ふと地元の春日部温泉が函館の一隅にある温泉に感じられた。

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