民間校長

 本日の東京新聞に民間企業から埼玉県の飯能市立双柳小学校長に着任した中村恵太朗校長が紹介されていた。
 日産ディーゼル工業において経理や人事畑で30年間勤務した後、「小学生のときに親や教師から教えられたことは忘れない。いいかかわり合いをつくる手助けをしたい」と教育界に飛び込んだということだ。彼は「管理職がすべきことは、会社でも学校でも、そう変わらない。ビジョンを示して現場の声に耳を傾け、課題を共有して環境を整え、個人を目標に向わせる。それが基本」「どちらがいい、悪いじゃなく、会社と学校のギャップを指し示し、先生や子どもの能力を引き出すエネルギーに変えていきたい」と語る。今どきの管理職には珍しく至極真っ当な見解である。
 「非常識」な考えを持った教員集団の中で、企業の「常識」が通用するのかどうか、大変に苦労されていると思うが、子どもから一番離れている(離れたがっている)管理職集団に気持ちの良い風穴を空けてほしいものだ。

『宣戦布告』

麻生幾『宣戦布告』(講談社 1998)を読む。
北朝鮮のスパイ11名が敦賀半島に潜入してきたという架空の状況に直面して、日本の内閣や警察、自衛隊がどのように動くのかを緻密にシュミレートしたフィクションである。しかし、実際に自衛隊や公安との付き合いも深い著者ならではの作品に仕上がっていて、極限状態では自衛隊のシビリアンコントロールは全く意味をなさないことや、警察と自衛隊の共同歩調の難しさ、アメリカのご都合を伺うだけの内閣の意志決定力不足など、実際に戦争になった際の日本国家としての態勢の決定的な不備を鋭く突いている。朝鮮有事を想定した日米安保やそれを有効に実施するための一連の日米ガイドライン関連法案が、逆に自衛隊の動きを封じ込め、軍事力の前には無防備な警察官を無残な死に至らしめると著者は指摘する。
残念なことに、北朝鮮は金正日の意のままに動く軍事国家であり、北朝鮮兵は洗脳された殺戮集団であるといった一方的な描き方がなされている。そのため、そうした北朝鮮の侵略に際して、平和を基調とした日本国憲法は邪魔な存在であり、有効な自衛体制をいち早く整備する必要があるという考え方に、読む側はどうしても誘導されてしまう。そうした一方的な解釈に囚われなければ、戦争における人間ドラマとして楽しめる作品である。

made in South Africa

bumbo

子どもの首が完全に座るようになったので、お坐り用のベビーソファを浦和にある「ビーキッズ」という子供用品のリサイクルショップで購入した。
当初知人から貰ったハイローチェアに備え付けるベルトを買いに行ったのだが、つい鮮やかな原色の物体に目が留まり衝動買いをしてしまった。座らせやすく、かつずり落ちて転んだりしないという代物である。定価は七千円近くするそうだが、中古品ということで千円で買うことができた。裏の記載を見ると南アフリカ製ということである。さぞ大喜びするであろうと子どもを座らせてみたところ、座り心地が悪いのか、虫の居所が悪かったのか、5分もすると顔を真っ赤にしてイヤイヤをしてしまった。子どもの好みは分からないものだ。

オックスモックス

pursejump

今日は30数回目の誕生日ということで、妻から財布をプレゼントされた。数年前に大宮のロフトの文房具コーナーで見かけて気になっていた財布を記憶に留めてくれていたようで、数年を経てのご対面となった。飛んだり跳ねたり躍動的な人々の線画が気に入っていたのだが、よくよく見るとオックスモックスというドイツのアウトドア用品のブランドメーカーが手がけた逸品だということが分かった。自分は一流品を見分ける目があったとひとり悦に入った。

終身刑制度の創設に向けて

本日の東京新聞夕刊に、終身刑の創設を求めてバイクで全国を行脚して署名を集めているイタリア出身のストッキ・アルベルトさんの記事が紹介されていた。ストッキさんは、七度目の出所後も放火を繰り返した元会社員によって、妻と子どもを子どもを失い、自身も火傷を負っている。そして犯人は昨年六月に求刑通り無期懲役が言い渡され一審で刑が確定した。しかし、ステッキさんは、「無期懲役だったので被告は六十歳になる前に仮出獄する。仮出所のない終身刑制度の創設は、悪質な再犯者から社会を守るために必要です」と静かに語る。

ストッキさんは死刑制度を必ずしも全面的に支持しているわけではないということだが、「妻や娘の死を無駄にはしたくない。必ず終身刑の法律をつくります。たとえホームレスになってもあきらめません」と述べる。

署名への問い合わせは電子メール mailto:minervai@rhythm.ocn.ne.jp