丸山和也『正義の判決:行列のできる弁護士』(小学館 2002)を読む。
今回の参議院に自民党の比例代表として出馬する人気タレント弁護士の丸山氏の著書である。一体彼はどのような人物であるのか興味があって手に取ってみた。一夫一婦制の「正常」な結婚制度に対して疑義を挟んでみたり、何でもアメリカの言いなりになる日本に対する不信、そして、被害者意識を慮った死刑制度の存続を訴える。根回し米国追従の自民党というよりも、民主党小沢代表寄りな見解が目立つ。人情派弁護士というキャッチフレーズからは程遠い、タカ派的な見地に立った意見が多かった。
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エンゼルドームにて
『ハリーポッターと賢者の石』
J・K・ローリング『ハリーポッターと賢者の石』(静山社 1999)を読む。
この年になって、またこの歳になってやっと『ハリーポッター』を読んだ。貧しい肩身の狭い生活から、一躍有名な魔法学校への入学切符を手に入れる「シンデレラ」ストーリー、魔法学校での生活は、見るもの聞くもの全てが奇妙で興奮に満ちた「不思議のアリス」的世界、そして魔法を覚え日々成長しながら、闇の世界の悪魔を倒す「ドラゴンクエスト」的な展開、などなど子どもの気持ちを鷲掴みにする要因が満載である。「元」少年である私も、テンポ良い訳文のお蔭か、すいすい読むことができて楽しめた。
家族で
本日の東京新聞の精神科医斎藤学氏のコラムが興味をひいた。斎藤氏は高みに立って物を言う人物であまり好きではないが、下記の論は正鵠を得ている。
ここのところ日本社会は上流と下流に分極化しているそうだが、もっともあからさまな「格差社会」は政界だ。世間では通用しそうもない素朴なアナクロ中年が首相をつとめられるのもそのせいで、要するに人材払底ということではないか。その男は力み返って「戦後レジームの脱却」などと言っている。この人、妙に真面目で「祖父さんの志」を継ぐなどと言っているから怖い。
この祖父さんこそ戦前から続く日本の暗い部分を戦後社会に混入させた男だ。防衛庁を防衛省にし、自衛隊は軍隊にする。教育基本法は改定を重ねて教育勅語にまで持って行く。そういうことを目論む連中が一定数いて、現首相のような「半わかり」を担ぐのだ。
小渕首相の在任時も「真空総理」などと揶揄されたが、ブッシュ米国大統領の背後にいるネオコンや戦前の天皇の勅命を錦の旗にした軍部独走体制も同じで、訳の分からないトップの影に潜って蠢く集団というのが一番気持ちが悪い。



