〈児童福祉論1〉

ここしばらくぼーっとしながらも、心せわしい日々を過ごしている。
公民館で改正児童福祉法に関する大学のレポートをまとめた。

 2004年の法改正では児童相談所の機能強化が主たる狙いとして挙げられる。その運営に関しては、現場での判断や裁量に任されている部分も多く、職員の質的向上がなによりも求められる。
 2004年の児童福祉法の改正のポイントは、全市町村に児童虐待や非行・養育などの子供相談窓口を設置し、児童相談所は後方支援と深刻ケースに対応するという体制の構築と、学校や警察などが参加する地域の「虐待防止ネットワーク」を「協議会」として明確に位置づけたことと、虐待する親の立ち直りを促すために、家庭裁判所が相談所に親への指導を勧告する制度の3点が挙げられる。これらの改正によって、家庭内の親からの虐待やネグレクトなどに、市町村や児童相談所、警察、学校の4者の包括的な地域連携での対応の充実が期待されている。

1.児童相談に関する体制の充実
 第10条によって、市町村は、児童の福祉に関し、必要な実情の把握と情報の提供、そして、家庭からの相談に応じ、必要な調査及び指導を行なうことが明文化された。また、都道府県は、市町村相互間の連絡調整や情報の提供、必要な援助に加えて、広域的な見地からの実情の把握、専門的な知識及び技術を必要とする相談への対応、必要な調査並びに医学的、心理学的、教育学的社会学的及び精神保健上の判定を行なうことなどの、市町村レベルを超えた相談に対処することが規定された。また、市町村に対し必要な助言を行なうなどの、都道府県の窓口となる児童相談所の体制の強化も合わせて改正された。
 特に市町村が第一の窓口となることで、これまでの都道府県での対処よりも迅速できめ細かい対応が可能となっている。

2.要保護児童対策地域協議会について
 第25条にて、地方公共団体は要保護児童及びその保護者に関する必要な情報の交換や支援の実施状況の把握、児童相談所等との連絡調整を円滑に行なうために、要保護児童に対する支援の内容に関する協議を行なう協議会を置くことができるようになった。
 これは保護者が児童に対して虐待する事件が頻発していることや、配偶者からの暴力によって家庭を出ざるを得なくなった被害者の子どもを保護するなど、家庭内事情に踏み込んだ対応が近年求められている背景がある。

3.里親の定義規定の新設
 第6条にて、保護者のいない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認められる児童を養育することを希望し都道府県が認定する里親制度が明確に位置づけられた。新たに、47条では、里親に対して、親権の一部である監護・教育・懲戒に関して児童の福祉のため必要な措置を行なう権限が与えられ、就学の義務も明確にされた。さらに、保護受託者制度が廃止され、里親は児童の自立を支援するために、年長児童に対して職業指導を行えることになった。これは里親の元で仕事を通じて社会で自立していく力を得ることを目的としている。明確な雇用関係を結ぶものではないため、里親の義理の代償として行われる労働力の搾取にならぬよう、行政のチェックが欠かせない。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください