パンフレット研究:小樽商科大学

名前からてっきり公立大学と思っていたが、パンフレットを見ると国立大学であった。1911年に開学した小樽高等商業学校からの流れを汲み、創立100年を超える伝統校である。小樽高等商業学校時代には文学者の伊藤整や小林多喜二などが学んでいる。1949年に小樽商科大学として再出発し、1971年に修士課程、2007年には博士課程が設置されている。現在では「商学部」の下に「経済学科」「商学科」「企業法学科」「社会情報学科」の4学科が設けられている。

学長自らが「就職名門校」と称しており、パンフレットも就職内定率がでっかく宣伝されている。各学科の専門科目においても基本的には実学志向が強く、「無駄」な科目が一切省かれている。
一方、さすが国立大学と思わせるのは共通科目の充実である。全学生が「知の基礎系」として、基礎科目を26単位、外国語科目14単位を含む52単位を学ぶカリキュラムになっている。また専門共通科目として、哲学や心理学、文学、現代思想、国際関係論、化学、物理学、英語などが3年次、4年次も学べるようになっている。
小樽商科大学側が「くさび型カリキュラム」と称するように基礎科目の充実と体系だった専門科目の組み合わせは、大学教育の基本であると思う。貧相な基礎科目群とただ科目を羅列しただけの専門科目群の組み合わせでカリキュラムを構成する大学が多い中で、小樽商科大学のスタンスは評価できる。実際、週間東洋経済の「本当に強い大学」特集でも、学生満足度や出世ランキングで上位にランクされている。

アメフト部の不祥事もあったが、地方の国立単科大学というメリットを充分に活かして、今後とも学生の教育にあたってほしい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください