田部井淳子『エベレスト・ママさん:山登り半生記』(山と渓谷社 2000)を読む。
1976年2月から11月まで雑誌『山と渓谷』に連載されたものである。著者の田部井さんは、1975年5月に女性で世界初の世界最高峰エベレスト8,848m(ネパール名:サガルマータ、チベット名:チョモランマ)登頂に成功した人で、その後1992年には、女性で世界初の七大陸最高峰登頂者となっている。
本書は登山途中の苦労だけでなく、仲間同士のギクシャクした関係や結婚・出産にまつわる悩みも赤裸々に綴られている。現在のようにzoomなどのネット会議での根回しもできないので、話一つ進めるにしても意見の対立や人間関係の亀裂を生み出してしまう。物事を進める側の苛立ちがはっきりと書かれていて興味を引いた。