「イラン新政権を中東警戒」

本日の東京新聞朝刊記事より。
地理Aは2学期より西アジアに入っていく。イスラム教と切っても切れない地域である。その中東地域の2大大国がイランとトルコである。イランは人口8,280万人、トルコは8,315万人と拮抗している。次に、アフガニスタンの3,890万人、イラクの3,887万人、サウジアラビアの3,370万人と続いていく。イランの影響力の大きさが分かるであろうか。

そのイランはかつてペルシャと呼ばれた国で、紀元前からの歴史がある国である。また、イスラム教の1割強を占めるシーア派を信奉する国として知られる。同じイスラム教の多数派のスンナ派とは歴史的に仲が悪い。1980~88年まで続いたイラン・イラク戦争は、シーア派のイランによるイスラム革命の影響が及ぶことを恐れたサウジなどの湾岸諸国が、当時はスンニ派政権だったイラクを後押しする構図であった。

イランを盟主とするシーア派はイラクだけでなく、シリア、レバノン、イエメンにも多くの信者がいる。シリアではアサド政権がシーア派に近いアルウィー派と蜜月な関係にあり、ロシアやイランの協力を得て、国内のスンナ派への抑圧が続いている。また、レバノンでは人口の半分弱を占め、シーア派の武装組織のヒズボラが活動をしており、政権の不安定要素となっている。記事にもあるが、イエメンでもサウジに対抗する反政府武装組織のシーア派をイランが支援している。

このようにシーア派のネットワークがスンナ派の中心国であるサウジアラビアを取り囲むように構築されている。これまで米国はイランを敵視し、スンナ派のサウジアラビアとの関係を大切にし、中東の番犬としてイスラエルの軍備増強に力を注いできた。しかし、バイデン政権成立後、米国の中東への関わりが低下しつつある。そうした中で、中東がどのような秩序を模索していくのか、日本にとっては対岸の火事ではない。むしろ中東との政治的利害関係の薄い日本としては、親日家の多いイランとの関係をこれまで以上に太くしておきたい。