「国連制裁の船 拘留せず」

本日の東京新聞朝刊に、国連安保理で制裁されている北朝鮮の石炭密輸に関する記事が掲載されていた。詳細は記事に譲るが、北朝鮮国内には、石炭だけでなく、鉄鉱石や燐灰石、マグネサイト、ウランなど、200種類を超える有用鉱物が確認されている。また、近年とみに価値が高まっている希少金属のタングステン、ニッケル、モリブデン、マンガン、コバルト、チタニウムなども豊富との情報がある。こうした鉱物資源が北朝鮮の核・ミサイル開発の資金源となっているとのことで、国連決議が発動されている。

地理的に言えば、朝鮮半島は安定陸塊に属している。安定陸塊とはまだ植物が地上に繁茂する前の先カンブリア時代からほとんど変わらない地域である。そのため鉱産資源が発掘しやすい。石炭は植物由来のため、植物が地上で栄枯盛衰を繰り返した6億年前から2億5千年前に造山運動で形成された古期造山帯に多く見られる。北朝鮮は安定陸塊に位置しながら、石炭が偏在する地域となっている。

北緯38度線を挟んだ一方の韓国は、同じ安定陸塊にありながら、日本と同様にほとんど鉱産資源に恵まれない。そのため、原材料を輸入し、製品として輸出する加工貿易を産業の中心としてきた。

資源に恵まれた国であるがゆえに、私腹を肥した独裁政権が蔓延る例は、中東やアフリカ諸国でも散見される。生まれつきの財産や身分、美貌に恵まれても必ずしも成功しない人間に擬えることができるだろうか。