『恋歌』

五木寛之『恋歌』(講談社文庫 1971)を読む。
1967年9月から翌68年4月にかけて新聞に連載された小説である。戦後満洲からの引き揚げ時に外国兵からレイプされた経験を持つ妻冬子とレコード会社に勤め、高度経済長を駆け上がる夫信介の奇妙な夫婦に多くの若者が惹きつけられていく。

高校時代に読んだ本で、30年振りに読み返した。当時は硬派な小説を期待していたので、肩透かしを食らった作品であった。今読み返してみてもテーマが陳腐で、単なる娯楽小説となっている。