宮田律『南アジア 世界暴力の発信源』(光文社新書 2009)を読む。
南アジアの4カ国,インド,バングラデシュ,パキスタン,アフガニスタンの現代史がまとめられている。
インドというと,最近はICTや自動車など経済的な成長ばかりが報じられるが,実際は貧困地域の解消は目処が立っていない。さらにヒンドゥー教の過激派やバングラデシュの過激派も騒動を起こしており,日本の報道では伺えない闇を抱えている。また,パキスタンとインドの対立も宗教やカシミール地方の帰属がクローズアップされるが,両国に武器を提供した大国の責任は大きい。
著者は,テロの原因は貧困にあり,力で抑えつけるものではないと,オバマ政権を批判している。また,返す刀で,米軍と一体化しようとする日本政府の手法にも疑問を呈する。