水色の自転車の会編『自転車は街を救う:久留米市学生ボランティアによる共有自転車の試み』(新評論 2002)を読む。
福岡県南部にある久留米大学経済学部教授の駄田井正教授のゼミ生が中心となって始めた自転車シェアリングの2年間の取り組みがまとめられている。オランダ・アムステルダルのデポシステムやドイツ・ミュンスター市の自転車を優先する交通ルールの整備などを参考に、久留米市で市民のモラルを頼りに共有自転車の仕組みを作ろうとする学生の思い入れと、大人の都合がぶつかるところが面白かった。
ネットで検索したところ、現在は活動していないと思われるが、環境と健康の良いとこ取りの自転車の活用の試行錯誤は必ずや参考にされるであろう。先ほど、テレビ朝日の「サンデーステーション」という番組の中で、京都府立大学の松田法子教授が東京都心部の水上交通の可能性について語っていた。東京都心部は川や用水路が網の目のように流れているので、公共交通手段としてもっと注目されて良い。但し、岸辺に係留所を設けるにしても新たな駐車スペースを確保することは難しく、駐輪場の整備が求められるであろう。「自転車+水上交通」という形が近い将来に実現することを願うばかりである。
現在、国内自転車業界1位のブリヂストンサイクルだが、上尾に本社があるので、すっかり埼玉の会社かと思っていたが、久留米市が創業の地ということだ。元々は足袋を作っていた明治26年創業の「嶋屋」が大正時代に「日本足袋株式会社」となり、1931年に2代目社長の石橋正二郎が同社工場内にタイヤ部を設けて「ブリヂストンタイヤ株式会社」として独立し、さらに1949年に「ブリヂストンサイクル工業会社」として分離独立して現在に至っている。