模試の講評

 皆さんの解答用紙を見たところ、記号式の選択問題は比較的取れているのですが、記述式の問題の出来がおしなべて芳しくなかったです。本文の内容がある程度読み取れているのに、日本語の文章表現に難(主語がはっきりしない、文章の流れが悪い、句読点や接続詞を全く使っていないetc.)があるために、ほぼ100%の答案で不正解もしくは減点となっています。また、記述問題に時間が掛かりすぎてしまったのか、全体の時間配分が失敗した答案も数多く見受けられました。文章の滑らかな解答もあったのですが、肝心のキーポイントが抜けてしまい減点となっている答案も少なからずありました。是非、答案が返されたら気の置けない友人に自分の答案を読んでもらってください。

 マーク形式の問題であればさほど心配は要らないのですが、数十字程度でキーワードを用いてきちんと説明する力は、現代文と古典の別、大学入試の形式を問わず、就職試験や各種検定、公務員試験などで勝ち上がっていくための必須の力となります。大学入試以上の記述の「構成力」と、高校入試までの「穴埋め式」説明問題の解き方は、全く別物といっても過言ではありません。

 「AもBも、CなのでDである」「AとBは、Cの点で違っている」「AはBである。しかし、CはDである」「AはBなので、CがDになるから」といった修辞法を用いながら答案を構成する、いわゆる「日本語ライティング」の力を身に付けていく必要があります。また、こうした記述の力に正解というものはありません。自分でこなれていくしかありません。しかし、限られた授業の時間の中で一人ひとりの説明する力をフォローすることは大変難しいのが現状です。

 事務的な連絡事項を大勢で共有したり、絵文字などを使いこなして感情を”ストレート”に表現したりすることは、皆さんの方が我々教員よりも優れていることでしょう。しかし、模試や入試では、採点官に本文の内容を理解していることを”アピール”する技術が問われてきます。国語の勉強の範疇に捉われず、主語を入れ替えたり、挿入したりして文章を推敲する時間を大切にしてください。記述問題を自分のものにできると、理科や社会といった教科が得点源になります。

 受験のアドバイスからやや離れますが、「The pen is mightier than the sword.(ペンは剣よりも強し)」という格言にある通り、憲法や民主主義といった抽象的な考え方を作ったり守ったりする力の源泉は文章にあります。武力で平和は作れません。金で民主主義を作ることはできません。相手を納得させる、説得する文章を書く力を伸ばしていくことが、大げさですが、やがては平和や立憲主義を支える礎になっていくと期待しています。

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