筒井康隆『エディプスの恋人』(新潮社 1977)を読む。
この『エディ〜』は、特殊な精神感応能力を持った火野七瀬を主人公とした『家族八景』、『七瀬ふたたび』に続く、「七瀬三部作」と呼ばれる作品の最終楽章にあたる。
浪人生の頃に読んだ際、活字文学の持つ可能性の大きさを感じ、弱気になりがちな浪人生の心の中に文学を学ぶことへの意欲を掻き立てた作品である。
但し内容は上手い具合に忘れていたので、最後までワクワクしながら読むことができた。
今読み返してみると、アニメ「魔法少女まどかマギカ」のような神の領域に近づく意識や、同じくアニメ「エヴァンゲリオン」に登場する綾波レイのような自己の存在感への懐疑など、1990年代、2000年代のアニメや漫画、小説を先取りした内容に驚きを禁じ得なかった。