山田吉彦『日本の国境』(新潮新書 2005)を読む。
著者は日本財団に勤務しており、実際に沖ノ鳥島や大東諸島など、国境に近い島を訪れている。知識ばかりに流れがちな本が多い中で、そうした体験談は面白かった。
日本は、東は南鳥島から西は与那国島まで3143キロメートル。北は択捉島から南は沖ノ鳥島まで3020キロメートル。同じ国内でありながら、南北間の冬季における平均気温差は、摂氏30度にもなり、亜寒帯から熱帯まで、幅広い気候区分を持っている。同じ季節に氷の妖精クリオネが舞う流氷の海と、色鮮やかなチョウチョウウオやクマノミが泳ぐサンゴ礁の海を見ることができる、多くの生態系をもった自然豊かな国なのである。
但し、沖ノ鳥島は以前は北露岩、東露岩と呼ばれていたもので、高潮時には、北小島は16センチ、東小島は6センチだけ水面上に頭を出すとても小さな島である。
また、日本近海の大陸棚にはマンガン団塊やメタンハイドレート、コバルト・リッチ・クラストなどの海底資源が埋蔵されており、メタンハイドレートについては、日本の天然ガス消費量jの100年分のメタンがあるといわれている。但し、ある地質学者は「おそらく大陸棚には10兆円相当の資源があるだろう。しかし、今の技術で、それを掘るには10兆円以上のかかるんじゃないかな」と話している。